2021/08/13
公的年金に関する金融庁の報告書が大手メディアでも話題になっています。
「自助」の必要性がメディアでも報道されるようになったのはいいことですが、そういう状況でふと心配になるのが、投資信託で失敗する人が増えたりしないかということです。
そこで、大手メディアがあまり報道しない点を書いておきたいと思います。
それは「投資信託での資産形成は、コツを知らないと失敗する」ということです。
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これまでの投資信託の運用は約半数がマイナス
投資信託は、資産形成のツールとして非常に有益です。
ですが、何も知らないで投資信託を購入すると失敗する可能性が高いということも1つの事実です。
それを裏付けるのが、金融庁が2018年に実施した調査です。
詳細はリンク先で見ることができます。
この資料では、投資信託の運用損益の統計が公表されています。
投資信託の運用損益別の顧客比率がこのグラフです。
数値を公表した96社合算ベースで、なんと46%の顧客がマイナスの運用損益率です。投資信託を購入している人の約半数の人が損をしている計算になります。
10%以上損をしている人も1割以上いることがわかります。
次に、96社の損益の状況も公表されています。それが次のグラフです。
データを拡大してみたい方は、リンク先でご覧ください。
このグラフをみると、マイナスの運用損益率の銀行や証券会社が多数あることがわかると思います。これは公表している金融機関で、数値を公表していない金融機関もこのほかに多数あります。
金融庁は、この分析において、高コストの商品を買っていることが失敗する1つの要因であることを指摘しています。
店舗型の金融機関では、手数料の高い商品を勧められることも多いのです。
こうした状況を変えようと、金融庁は金融機関に対して変革を促していますが、金融機関の姿勢が変化するには時間がかかりそうです。
投資信託の資産形成で失敗しないための3つのコツ
では、失敗しないためにはどうしたらいいのでしょうか。
投資でうまくいくコツは、次の3つのことを実践することだと思っています。
ネット証券を利用する
その1は、ネット証券を利用するということです。
ネット証券なら低コストのインデックスファンドを確実に取り扱っています。また、金融機関の方から変な勧誘を受けることもありません。
ちなみに、投資信託は長期で運用することになりますので、ネット証券のなかでも大手を利用するのがいいと思います。
ネット証券の大手2社は、楽天証券とSBI証券です。
「つみたてNISA」を利用する
その2は、「つみたてNISA」を利用することです。
それを金融庁が長期投資を誘導するために制度化したのが「つみたてNISA」です。
「つみたてNISA」なら金融庁が地雷商品を取り除いてくれていますので、高コスト商品を買ってしまうリスクは限りなく小さくなります。
まずは、低コストのインデックスファンドを利用することです。
「つみたてNISA」なら利益も非課税になります。
失敗したくなければ、まずは「つみたてNISA」を利用するのがいいと思います。
「長期・分散・積立・低コスト」を理解して実践する
その3は、「長期・分散・積立・低コスト」を理解して実践することです。
投資信託の運用の失敗は、金融機関だけのせいではありません。投資する人間の失敗もあるのです。
「長期・分散・積立・低コスト」の大原則を実践する必要があります。
大事なのは、低コストのインデックスファンドで世界に向けて分散投資すること、毎月積立すること、長期で投資をすることです。
途中で狼狽して売ったりしては、どんないい商品でも損が生じてしまいます。
「長期・分散・積立・低コスト」をひたすら実践する人が、投資信託でプラスの資産形成ができるということです。
上位3社の成功要因は積立投資
ちなみに、運用損益率が上位の3社は、コモンズ投信、レオス・キャピタルワークス、セゾン投信の直販系でした。
成功要因は、いずれも「積立投資」を実践することであると指摘しています。
成功要因ははっきりしています。
「長期・分散・積立・低コスト」を実践することが大事なのです。
資産形成のサポートをしてほしいという方は、実績のあるこの直販系3社を利用するのも1つの方法です。
投資をはじめる前は不安かもしれませんが、積立投資を続けるうちに、資産形成のコツがつかめると思います。
投資信託で資産形成はできる
私自身は2012年から投資信託で資産形成をしていますが、私の実感としては「投資信託で資産形成はできる」というものです。
自分の運用益は、現時点でも投資元本よりも大幅にプラスです。上記の3つを守ってシンプルに続けていけば、資産形成は着実にできるというのが私の実感です。
経験が増えたことでどんな相場がきたとしても対処できるだろうという見通しも持てるようになりました。このあたりの実感は、続けた人だけが持てるものかもしれません。
最低限のコツさえつかめば、誰でも実践できるのが積立投資だと思っています。
低コストのインデックスファンドを利用して、資産形成をしていける人が増えるといいですね。
以上、投資信託での資産形成は、コツを知らないと失敗する…という話題でした。
参考リンク:
金融庁が買ってはいけない金融商品を指摘してくれています。買っていい金融商品は限られていることを知りましょう。
金融庁の2017年の金融レポートを4回にわたってまとめたことがあります。投資の方法を知りたい方は参考になると思います。
「投資」なんて怖い…という方は本で知恵を仕入れるのが最初の一歩です。金融庁のアンケートで選ばれた投資本10冊です。良質な投資本を1冊でも読んでみると、いろいろな疑問が解消されると思います。