2021/08/13
先日行われた「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year 2016」では、 金融庁の森信親長官からのメッセージが話題になりました。
金融庁の考え方は、金融庁がホームページで公表している金融レポートで知ることができます。
そこで、金融庁の金融レポートを何回かにわたって紹介してみたいと思います。金融レポートを題材にした「読みもの」として楽しんでもらえればと思います。
第3回のテーマは、「長期で積立投資をしなさい」です。
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投資時期の分散
金融リポートは、投資時期を分散することを提案しています。
金融レポートでは次のように説明されています。
投資の時間軸についても分散を図り、いわゆる積立投資を行う手法も有効である。投資資金を一度に投入する手法は、事後的に見て価格が安いときに買っていた場合には大きなリターンが得られる一方で、市場動向を見誤れば、その逆に、いわゆる「高値掴み」になりかねないという不確実性を有している。積立投資には、資金投入の時期を分散することにより、こうした不確実性を軽減する効果があるとされる。
値動きをする相場の不確実性に対処するためには、時間を分散することです。
そこで、ドル・コスト平均法を勧めています。
予め決めておいた周期・金額で機械的・定期的に一定額ずつ投資を積み重ねていく手法(定額投資法またはドル・コスト平均法)がある。この手法では、相対的に価格が安いときに量を多く購入し、価格が高いときには少なく購入する形となることから、計算上、平均取得価格を低く抑える効果があることが知られている。
毎月定額で買い続けることで、平均取得価格を低くする効果があるのがドル・コスト平均法です。
図で確認してみましょう。
左側が毎月50株を買った場合です。右側が毎月5,000円を買った場合です。
定額で毎月買う場合(右側)のほうが、株数を一定に買う場合(左側)よりも、1株当たりで安く買えていますね。
よっぽど投資に慣れた人なら一括投資でもかまいませんが、楽ちんなのは毎月定額で買い続けることです。
毎月買い続けることで平均単価を低くおさえることができます。
アメリカの投資の格言に、次のようなものがあります。
Don’t try to time the market.
安い投資時期を狙うというのはじつは難しいのです。
大事なことは、どんな相場でもたんたんと積立を続けることでしょう。暴落時にも決して積立をやめないことです。
長期的な保有
そして、投資によるリターンを安定させる上では、長期間にわたって継続的に保有することが有効であるといいます。
この図もなかなか勉強になります。
これは、過去30 年間の各年において国内外の株式・債券に分散投資を行った想定です。
投資収益率の分布を比較すると、保有期間5年の場合には安定しないのに対して、保有期間 20 年の場合にはプラスの投資収益率になったという分析です。
時間を味方につけることでリターンが安定するのです。
長期で積立投資をしなさい
金融庁のメッセージを一言でいえば、「長期で積立投資をしなさい」です。
昨日の分散投資を加えれば、大事なことは「長期・積立・分散投資」の3つです。
まさに積立投資の王道です。
金融レポートにここまで書いていることに、「貯蓄から資産形成へ」の金融庁の本気度が伝わります。
金融庁の本気度に応えて、積立投資の基本をおさえたいですね。
以上、長期で毎月積立をしなさい。—金融庁の「金融レポート」を読んでみる(3)…という話題でした。
参考リンク:
ドルコスト平均法のメリット・デメリットについてはこちらを参考にしてください。
ドルコスト平均法は「気休めにすぎない」と言われることもありますが、その「気休め」がよかったりします。