2021/08/13
ここ数年で、米国株式をかんたんに購入できる時代になりました。
こうした投資環境になったのは本当に最近のことで、いい時代になりましたね。
昨今の米国株式ブームで、積立投資の投資対象を米国株式に集中する方もでてきているようです。
そんな折にご質問をいただきましたので、私も投資対象について考えてみたいと思います。
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米国株式1本が最強なのか
以前からコメントをいただいている投資おばさんからご質問をいただきました。
さらっと難しいご質問です。
水瀬さんの記事には、「米国株式1本で最強!の謎」という記事が
ありますが、なるたくさんのおすすめの広瀬さんのセミナーの記事と
見解がだいぶ違うと思いますが、、このことに関してなるたくさんはどう思われますか?
ありがとうございます。
さらっと高度なご質問で、悩むポイントですね。
水瀬ケンイチさんは、ブログのなかで国際分散投資の重要性を説いています。
先日取り上げた広瀬隆雄さんのセミナーでは、インデックスファンドなら米国株式という話もありました。
どう考えるべきなのでしょうか。なかなか難しい質問ですが、せっかくなのでブログの記事にしてみようと思います。
投資対象にはブームがある
まず、投資をはじめて気づいたことがあります。
それは、投資対象にはブームがあるということです。
投資をはじめた頃にはよくわかりませんでしたが、私が投資をスタートした2012年頃には、新興国株式にも投資すべきという発言をする方がたくさんいました。
2012年当時は米国株式のみを主張する人はほとんどいなかったと思います。そもそも、低コストの米国株式の投資信託が存在しませんでしたから、そういう話題にもならず、当然のように国際分散投資が王道の資産配分でした。
結構調べていたので、それなりに記憶が残っています。
そして、2019年の現在は米国株式を強調する方も多いという状況です。
米国株式のインデックスファンドも複数発売され、S&P500に積立投資をすることもかんたんになりました。そうした状況がここ最近の米国株式ブームを生んでいるということだと思います。
こうした推奨の動きに共通していることもあります。
それは「その直前の時期に成績がよかった資産クラスが推奨される」ということです。
新興国株式がブームになるときには新興国株式クラスの成績がよかったですし、ここ数年の米国株式の好調ぶりはご存じのとおりです。
その直前の時期に成績がよかった資産クラスを推奨する記事に注目が集まるようになります。
上がる前に「買えた人」が推奨する
そして、もう1つ気がついたことといえば、「その投資対象を値上がりする前にきちんと買っていた人」がブームを作るということです。
新興国株式ブームのときにも、値上がり前に購入していた人が多かったように記憶していますが、まさに今の米国株式ブームも、米国株式を事前に買っていた人がインフルエンサーになっているように思います。
こういう動きのときには、後追いで購入する「フォロワー」がでるのですが、上がった後に購入した場合には、短期的には下がる経験もすることになります。
インフルエンサーの発言に説得力がある頃には、その資産はすでにいいときを過ぎているということも多いのです。
個人的には、米国株式は今後も長期では伸びていくと思いますが、短期的には難しい時期も当然くるのではないかと思っています。
実際、米国株式の歴史がそうなっていますからね。
積立投資をはじめていろいろ経験すると、私自身は、他人の発言に影響されずに、安いときに淡々と買い続けるスタンスを身につけるほうが大事だと考えるようになりました。
「勝者を当てない」投資をする
米国株式vs国際分散投資というのは、じつはどちらも共通した部分があると思っています。
それは、個別株投資とは違ってどちらも「勝者を当てない」投資術だということです。
2014年の田村正之さんの日経新聞の記事が、まさに「勝者を当てない」投資術という切り口でインデックスファンドを紹介しています。
大事な部分を引用して紹介します。
「ほとんどの投資家は、事業の見通しが立てられるようになる勉強を人生の優先事項にはしないでしょう。もし賢明であれば、特定の事業の将来利益を予測できる知識を持っていないことがわかるでしょう」。つまりみんながバフェット氏になれるわけではないということだ。
それでも失望する必要はないという。
「一般的な投資家がそのようなスキルを持つ必要はありません。米国のビジネスは時代を超えて素晴らしい成果を上げてきたし、今後もそうでしょう。プロでない人々が目指すべきなのは、勝者を当てることではありません。自分だけではなく、助力者にもできません。代わりに幅広い領域にわたる企業を買えば、必ずうまくいきます。S&P500種株価指数に連動する低コストのインデックスファンド(指数連動型投信)を使えば目標を達成できます」
…多くの個人には「何がいつ上がるかを当てることだけが投資」というイメージが強い。その結果「投資は難しい」「当て続けるのは無理」などと感じ、投資から去っていく。「普通の人は勝者を当てなくていい」というバフェット氏の言葉をかみしめたい。
ウォーレン・バフェットがS&P500を購入することを推奨しているのは有名な話です。
この記事が指摘するように、個別株投資よりもS&P500に投資したほうが「勝者を当てない」投資術になります。
さらに、全世界を購入する国際分散投資は、この「勝者を当てない」投資術をより徹底した形ということになります。
つまり、「特定の資産クラスがいつ上がるかを当てることだけが投資」というイメージがある人もいるかもしれませんが、「普通の人は勝者を当てなくてもいい」のです。
先進国株式、新興国株式、日本株式のインデックスファンドを幅広く購入することで、勝者を当てない投資が実践できます。
私自身は全世界の株式を購入するスタンスをとることで、「勝者を当てない」投資術を実践したいというのが、当初から一貫している積立投資の方針です。
「勝者」を当てない投資を長期で実践する
投資のゴールについては、私は少なくとも30年程度先をイメージしています。
かなり長期ですね。
そして、積立投資をするなら、もっと重要なことがあります。
積立投資を勉強した人はご存じかと思いますが、積立投資のリターンは、右肩上がりの資産クラスが最もリターンが多いとは限らないのです。
右肩上がりでなくても、安い時期に着実に購入できていればリターンは高まります。そして、定期的なリバランスもプラスに働きます。割安な時期に買わなければ、リターンは高まりません。
私は今も新興国株式のインデックスファンドを地味に継続して購入していますが、いずれこうした行動が長期で成果になるのでは…と思っています。
割安な時期に購入し続けて、「勝者を当てない」投資術を自然と実践できるようにしていきたいですね。
ということで、私は長期では国際分散投資派で、ついでに長期では新興国株式にブルというスタンスです。
今はあまり支持されないスタンスかと思いますが(笑)、新興国株式が安く買えている気分ですし、資産配分が崩れたときにリバランスをすることで、リターンを向上できればいいという考えです。
このスタンスがどういう結果を生むのかは、数十年後に答え合わせですね。
ご質問ありがとうございました。
以上、「勝者を当てない」投資を実践する…という話題でした。
参考リンク:
2050年のGDP予想というのもあります。世界経済の勢力は動く見通しです。
国際分散投資は、「精神的に楽」というのもあります。リバランスもできますので、長期で続けやすい資産配分だと思っています。
過去117年の株式市場の推移です。これまでの100年はアメリカの急成長の歴史でした。アメリカの急成長が続くかどうか、というところですね。
コメント
早速、記事にしてくださりありがとうございました
実は、息子の資産運用の指南役としまして数か月前
イデコのたわら先進国を楽天VTIに変更するように
勧めましたら「えー?8000円儲かっているのにー」と言いながら
即日変更したようでした。
何と最近、たわらがコストダウン競争に参入したそうですね、、
何だか息子に悪い事してしまったような気持です、、
20年30年後を期待して大丈夫ですよね? ( ̄∇ ̄;)ハッハッハ
by 投資おばさん 2019年9月25日 10:38 AM
投資おばさん
楽しいお題をありがとうございました。
いろいろ考えて、ゆるいエントリーを書くことができました。
息子さんの資産形成、続いているようでなによりです。
たわら先進国株式のコストダウンは本当に意外でしたね。
米国株式と先進国株式の成績は、指数としては基本的に同じ傾向にあって、
成績の善し悪しも時期によりけりのような気がしています。
20年、30年を考えると、どちらでもいいですね。
大事なのは続けていくポリシーかもしれません。
長期で続いた上昇相場ですが、これから動きもあるかもしれません。
そんなときに役立つのは経験です。
着実に積立を続けていけるかどうかが、指南役の腕のみせどころになりますね。
なるたく
by loloinvestors 2019年9月29日 9:53 AM