2021/08/13
新刊で発売されたときに購入した一冊です。
言わずと知れたチャールズ・エリスですが、その自伝的一冊です。
相場が不安定な日々を前にしたとき、本書はもっと高く評価されてもいいかもしれません。
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チャールズ・エリスとは
チャールズ・エリス氏は、世界中で読み継がれている『敗者のゲーム〈原著第6版〉』の著者です。同書はインデックス投資をしていれば必ず名前を聞く代表的な一冊です。
同書では、投資において勝つために最も簡単な方法は、インデックスファンドを活用する方法だと述べています。私のお気に入りの一冊です。
そのチャールズ・エリスが「The Index Revolution」という本を2016年に執筆しました。
この翻訳本が本書ということになります。訳者は鹿毛雄二、鹿毛房子というお二人です。鹿毛雄二氏は「敗者のゲーム」の翻訳をした方です。
本書の特徴
本書は大きく2つのパートからなります。チャールズ・エリスの自伝的パートの第1部と、インデックスを勧める10の理由の第2部です。
本書を読んだらいいと思うのは、「投資の基本は理解したつもりだけど、下落相場を前に本当にインデックスファンドで積立していていいのかな…」なんて不安な気持ちになっている方です。
インデックスファンドを長期で積立していくためには、その基本が腹落ちしていないと続けられないのです。
このフレーズに、本書のポイントが凝縮されているように思います。
「人生の様々な場面であり得ることだが、投資における最悪の失敗は、感情が理性より強くなったときや、短期的視野が長期方針に勝ってしまったときに起きる。一息入れて1から10まで数えるのもいいかもしれない。もっといいのは、「私は5年後のことを考えているだろうか?」「これから10年後も大丈夫だろうか?」と、自分自身に問いかけることだ。長期的視野に立ち、短期のミスターマーケットに振り回されなければ、最良の結果を生む。インデックス運用こそがその鍵だ。」(171頁)
発売当初に読んだときにはピンときていなかったのですが、今の不安定な相場を前にしたときに本書の価値は高まります。
巻末にはバートン・マルキール教授の推薦文もあって、これも深いです。
「インデックス」という革命を腹落ちさせるテキストです。
これでいいのか不安な人に
「インデックス投資入門」というには、チャールズ・エリスの自伝としての要素も強く、ややタイトルが不一致のような気もしますが、内容的にはインデックス投資のエッセンスが詰まっています。
第1部の自伝部分を読むことで、チャールズ・エリスがいかに苦労してこの境地に到達したのかもわかります。
「ウォール街のランダム・ウォーカー」や「敗者のゲーム」は難しく感じるけれど、インデックス投資のエッセンスは知りたいと思う方にいいでしょう。
やさしい本がほしい、という方には向きませんし、資産配分などの方法を教えてくれる本でもありません。むしろ、理論的な裏付けをもって「インデックス投資」の良さを語ってほしいという人に、手にとってほしい一冊です。