2021/08/13

ロイターに掲載された「女性はなぜ「優れた投資家」なのか」というコラムがおもしろかったです。
本当に女性のほうが「優れた投資家」なのでしょうか。この点を書いてみたいと思います。
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女性のほうが優れた投資家である3つの理由
記事では、女性のほうが優れた投資家である理由として次の3つの点をとりあげています。
1つめは、女性のほうが取引が少なく手数料をかけないということです。
女性よりも男性のほうが35%多く取引をする傾向にあるそうです。つまり、男性のほうが手数料がかかる取引をたくさんして、手数料でリターンを下げてしまっているということになります。
2つめは、女性のほうがお金を多く投資にまわしているということです。
記事には、女性のほうが年間1%ほど多く貯蓄していることが明らかになったといいます。着実な人が女性のほうが多いという分析です。
3つめは、女性のほうが分散投資しているということです。
女性は男性よりも、さまざまな資産で構成される長期的なバランス型ファンドといった商品に投資しているといいます。
男性は株式だけに投資したりして、集中投資の傾向にあるといいます。
つまり、この記事の分析によれば、手数料がかかる取引を少なくする、原資を多くする、分散投資をするというシンプルな投資を冷静に実践することが、「優れた投資家」になるための条件だということです。
そういうことができるのは、女性のほうが多いというのがこの記事の分析です。
原因は「自信過剰バイアス」
男性が「優れた投資家」になれない場合があるのは、男性は株の銘柄を選んで儲けたことを自慢したい、という欲求があるからだといいます。
記事には次のように書かれています。
「男性は株の銘柄選びを、儲かれば自慢できるようなスポーツとして考える。だがそれこそが問題の根源なのだ」
いわゆる「自信過剰バイアス」の問題です。自分は投資がうまいと思って、売買を行うことが多くなってしまう現象です。
山崎元さんが2011年のコラムにそのことを紹介しています。
山崎元さんのコラムにも、カリフォルニア大のテレンス・オディーン教授の調査が紹介されています。
オディーン教授はこの原因を調べてみたのだが、平均的に見て、男性投資家の方が女性投資家よりも売買が頻繁であることがその原因らしいということが 分かった。売買のコスト(手数料等)を考えると、ちょうど1%程度の差がつくくらい男性投資家の方が売買が多かったのだ。「平均的に見て」男性投資家は、 女性投資家よりも多くの売買をしていたが、彼らの売買は運用パフォーマンスの向上に何ら貢献せず、ただ手数料だけが余計にかかった、というのが観察された 現象だ。
問題は、なぜ男性投資家の方が売買が多かったのかということだ。この点に関して、オディーン教授は、認知心理学の知見から、一般に男性の方がオーバーコンフィデンスが強いので、自分の売買が運用を改善すると誤って信じて売買を行うことが多かったのだろうと推断している。
「自信過剰バイアス」の典型は、自分ならいいアクティブファンドを選べる、自分なら優良な個別株を選び出せる、分散投資をする必要はない、そして儲かれば自慢したいと思う、こうした思考パターンです。
たしかに、イメージとしては男性のほうが自信過剰なケースが多いのかもしれません。
ただ、これが本当に一般的にいえるのかというと、あくまで調査の仕方やイメージの問題なのかな…という気がしないでもありません。
男性でも「優れた投資家」になれる
男性でも「優れた投資家」にはなれると思います。
お金を増やすコツは男女共通です。
この記事の分析のとおり、手数料がかかる取引を少なくする、原資を多くする、分散投資をするという、バイアンドホールドを基本とした投資を継続すればいいだけです。
このことが多くの人の常識になればいいのだと思います。
私の場合、投資に関しては、少しも「自信過剰」な気持ちにならないのですが、めずらしいタイプなのでしょうか…。笑
まずは、「自信過剰バイアス」という現象を知って、バイアンドホールドを基本とした投資を続けていきたいですね。
以上、女性のほうが「優れた投資家」である3つの理由…という話題でした。
参考リンク:
投資では、自分の能力や判断などに対して、明確な根拠がないのに自信を持つことは、リターンに必ずしもプラスにならないのです。それに気づけるだけでも違いがあります。
こうした考え方は行動経済学の知見です。行動経済学のポイントを知っておくと、自分の考え方のクセがわかるようになります。お金を増やすひとつの知恵です。