2021/08/13
アメリカのロボ・アドバイザーというのは、日本でイメージされているものとはずいぶん違うようです。
昨日体験したのは、アメリカ最大手のウェルスフロントのボートフォリオを作成してくれるサービスでした。そのほかにロボ・アドバイザーはどんなサービスを提供してくれるのでしょうか。
アメリカのウェルスフロントの7つの特徴をまとめてみたいと思います。
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ウェルスフロントの7つの特徴
インデックスファンドで運用
第1の特徴は、低コストのインデックスファンドで長期運用をすることです。バンガードなどの信託報酬が低くおさえられたETFがポートフォリオに組み込まれています。体験した提案では、ETFの信託報酬の平均が0.11%でした。圧倒的な低コスト商品で構成されています。
自動でリバランス
第2の特徴は、定期的に行われるリバランスのサービスです。マーケットの動きや売買行動などで資産配分が変動した場合には自動でリバランスを実施してくれます。定期的なリバランスはリターンに貢献します。
非課税枠の自動活用
第3の特徴は、非課税枠を活用した投資の提案です。日本でイメージするなら、NISAや確定拠出年金などの非課税枠を積極的に活用することをロボ・アドバイザーが提案してくれるという感じでしょうか。投資で非課税枠を活用することはリターンに貢献します。
広範な分散投資
第4の特徴は、広範に分散投資したポートフォリオの提案です。ポートフォリオを提案してくれるだけにとどまらず、ポートフォリオを組み替えも行ってくれます。最近では、既存のポートフォリオの評価をしてくれる仕組みも提供しているようです。
節税対策
第5の特徴は節税対策です。アメリカでの節税対策というのは、タックス・ロス・ハーベスティング (Tax-Loss Harvesting)と呼ばれるものです。これがアメリカのサービスの大きな特徴でしょう。
アメリカの税制は総合課税なので、個人が株式投資を行って損失が出た場合、その年の収入等から損失分を引くことができます。ですので、含み損が出ているポジションで損失確定の売りを出すことにより、税額を圧縮することができます。
アメリカのロボ・アドバイザーは、市場が下落した時にETFを売って同様のETFを買い、損を確定して税負担を減らしたりするそうです。これがリターンに貢献すると説明されています。
ちなみに、日本は分離課税なので投資の損失を給与収入等で補填することはできません。
さらに、Tax-Loss Harvestingをさらに進化させたTax-Optimized Direct Investing(ポートフォリオのアメリカ株式の一部を S&P500の500社の個別株式にすることで、個別株のTax-Loss Harvestingを享受できる。Tax-Loss Harvestingと組み合わせ2.03%のリターン効果が得られる)やSingle-stock Diversification Service(特定の1社の株式を保有する顧客を対象に、その株式を時間分散で売ってくれる)もしてくれるといいます。
ストレスのない投資
第6に、投資からある程度感情を取り除くことに貢献するということです。人々が自分自身で投資をする際に犯す大きな過ちの一つは、過度に悲観的になってしまうということです。
日経マネーの特集でバートン・マルキール教授は、自動助言サービスによって、感情を取り除くことができれば、人々はより優れた投資家になることができると指摘しています。
感情をある程度排除することは、長い投資のなかで重要な観点だと思います。ロボ・アドバイザーはその手助けをしてくれるというわけです。
低コストの手数料
最後の特徴は、低コストの手数料です。ロボ・アドバイザーの手数料は1万ドルまで無料、それ以降は投資額の0.25%となっています。これは、ポートフォリオの提案にとどまりません。上記のすべてのサービスを行っての手数料ということになります。
まとめ
バートン・マルキール教授が著書「ウォール街のランダム・ウォーカー〈原著第11版〉 ―株式投資の不滅の真理」で指摘したことは、インデックスファンドは、低コストで、幅広い分散投資が可能であり、リターンに大きく貢献するということでした。投資リターンを増やす最も確実な方法は、投資コストを引き下げることだと指摘しているのも同教授です。
ウェルスフロントは、まさにバートン・マルキール教授の思想をロボ・アドバイザーで実践しているといえそうです。
アメリカでは、タックス・ロス・ハーベスティング(Tax-Loss Harvesting)などの手間のかかる運用も自動化されています。これだけ多様なサービスが受けられるとなれば、手数料を支払ってもサービスを受けたいという人も多いのではないでしょうか。
ファイナンシャルアドバイザーによる従来型の資産管理サービスよりも、低コストの手数料で、中立的なアドバイスが期待できます。ウェルスフロントのロボ・アドバイザーは、ポートフォリオの提案にとどまらない総合的な資産管理サービスという印象を持ちました。
日本でいうロボ・アドバイザーというのは、今のところ、各人の運用方針に合った最適な金融商品のポートフォリオを自動作成するというところにとどまっているように思います。
日本ではロボ・アドバイザーの取り組みがはじまったばかりです。ロボ・アドバイザーの普及には長い年月がかかると思いますが、ウェルスフロントのような総合的な資産管理サービスを提供することが、資産運用の未来の形のように思います。
以上、ロボ・アドバイザーは何をしてくれる?米国ウェルスフロントの7つの特徴…という話題でした。