2021/08/13
金融庁の報告書をきっかけにした「老後に2,000万円不足」の問題がメディアで長引いています。
こんなに長引くとは思っていませんでしたが、現役世代にとっては、資産形成の必要性を認識するいい機会になったかもしれませんね。
ただ、話題が続くうちに違和感が大きくなっていることがあります。
それは、「老後に2,000万円不足」という、将来の不足額を設定する話の組み立て方です。
あまり一般的な考え方ではないかもしれませんが、私は、将来の不足額や目標額を設定しないほうが資産形成はうまくいくと思っています。
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不足額や目標額の設定は不安につながる
ちょっと考えてみるとわかることですが、じつは未来には不確定要素がたくさんあります。
将来の不足額や資産形成の目標額を設定してみようと思っても、よくわからないのです。
何歳まで働くかはわかりませんし、老後にいくら必要なのかも、いくら考えてみてもはっきりわかりません。
自分自身の場合も、今の収入がずっと続くのか、自分自身の未来はよくわかりません。案外、アーリーリタイアするかもしれませんし、逆に、高齢者になっても仕事を続けるのかもしれません。よくわからないのです。
わからないことといえば、将来の年金受給額もわかりません。もちろん、受給額の目安を年金のサイトで調べることもできますが、それもあくまで大きな制度変更がないことを前提としたものです。あくまで目安なのです。
こんなに話題になっているところでいうのもなんですが、「老後に2,000万円不足」するということを一般化する「問い」そのものが意味がないと思っています。
考えてみれば当たり前ですが、月々の支出は人それぞれですし、リタイアする時期も人によってバラバラです。こういうことを言う人が案外少数派のようで、少し不思議に思います。
将来の不足額を指摘する話題展開は、不安につながります。ですので、メディアも話題作りにしたいのでしょうね。
ですが、老後の資産について確定的に不足額や目標額を設定することには、あまり意味がないと思っています。
将来の目標額を設定しないほうが資産形成はうまくいく
インデックスファンドの積立投資をして実感したことのひとつは、将来の目標額を設定しないほうが資産形成はうまくいくということです。
積立投資をはじめるとすぐ実感することのひとつは、毎日のように証券口座の評価額が変動するということです。
将来のリターンを予想することはほぼ不可能だと理解できます。
もちろん、積立投資を続ければ将来の資産は増えるという実感はあります。ですが、具体的な将来の金額まではよくわからないのです。
ですので、不確定な将来の目標額を設定して不安になるくらいなら、目標額を設定しないほうが、日々の暮らしが前向きで楽しいものになると思います。
それが、価格変動のリスクを受け入れるということだと思います。
目標額を決めたらいいと思うのは、将来の目標額ではなく、月々の積立額ですね。
将来の目標額に到達できるかはよくわかりませんが、月々の積立額であれば、収入と支出を把握すれば決めることができます。
家計管理をするということですね。
私は収入が変動しても、毎月の収入の4分の1を目安に積立投資にまわすことを目標に、家計管理をしています。
資産形成は将来の不安を小さくする
将来の資産形成をしていくことは、現代に必要なライフスキルのひとつです。
お金があればやりたいことにもチャレンジできますし、将来の不安を小さくすることもできます。
公的年金は、あくまで長生きリスクに対応する「保険」です。将来の生活費などは、ある程度の準備をしていくつもりで日々を生活したほうがいいというのは、金融庁の報告書が指摘するとおりだと思います。
毎月インデックスファンドに投資をして、資産形成に取り組んでみると、将来の不安は小さくなります。これは、積立投資をはじめてみるとわかる実感です。
メディアの報道にだまされないで、少しずつ資産形成に取り組める人が増えるといいですね。
以上、将来の不足額や目標額を設定しないほうが、資産形成はうまくいく…という話題でした。
参考リンク:
期待リターンからアセットアロケーションを考えることも誤りだと思っています。目標額を設定するアプローチは、資産形成にとってマイナスに働きます。
積立投資をはじめてみると、毎月買い足すのが楽しみになります。やってみるとわかると思います。
投資のコツは、しばらく使わないお金で投資をすることです。それができれば、資産は少しずつ増えていきます。