2021/08/13
田村正之さんの新刊を読みました。
勉強になりました。資産運用の本質を指南する必携の書になっています。
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著者の田村正之さんとは
田村正之さんは日本経済新聞社編集委員兼紙面解説委員をされています。
証券アナリスト(CMA)、上級ファイナンシャルプランナー(CFP認定者)、1級ファイナンシャルプランニング技能士の資格を持ち、立正大学経済学部で非常勤講師もされています。著書もたくさんあり、田村優之の筆名で小説も書かれる多才な方です。
日経新聞の署名記事はいつも勉強になります。また、確定拠出年金の新書では、iDeCoを詳しく解説してくれました。
本書の構成
本書の構成は下記のとおりです。
序 章 「お得な制度と商品」を使う人だけが有利に
第1章 つみたてNISAの衝撃
第2章 一般NISA――見過ごせない大きな投資枠
第3章 「老後資金作りの王様」イデコ
第4章 企業型確定拠出年金――有効活用が老後を左右
第5章 元本確保型の税優遇商品も活用
第6章 投資は本当に難しいのか
第7章 積み立て投資の誤解と真実
終 章 人生100年時代に向けたNISAとイデコ活用のロードマップ
この本がすごいのは、「全部入り」なところです。
「つみたてNISA」、「一般NISA」、「iDeCo」はもちろんのこと、「企業型確定拠出年金」や「国民年金基金」、「小規模企業共済」や「生保の個人年金保険」まで、ありとあらゆる制度について解説してくれています。
人によって最適解は共通ではありません。詳しく知れば知るほど、自分にとって有利な方法がわかってきます。
有益な情報が要領よくまとまっています。
初心者を中級者に導く書
読んでいて思ったのは、本書は「初心者を中級者に導く書」だということです。
初心者の方があまり理解していない点をきちんと説明してくれています。
たとえば、こんな項目をみなさん理解しているでしょうか。
- iDeCo+NISAで約2000万円の備えも可能である
- 低コスト商品を選ぶ人だけ得をする
- 信託報酬の差で30年間の成績は2倍近くの差になる
- 「一般NISAがつみたてNISAより累計非課税枠が少ない」は間違い
- 一般NISA、ロールオーバーの上限撤廃で実質的に非課税枠拡大
- つみたてNISAとイデコ、おすすめ金融機関と避けるべき金融機関はどこか
- 意外に税金がかかるイデコの受給時。最も有利な受け取り方法は?
- 生保の個人年金保険はイデコより不利
- 国民年金基金は、節税効果を入れると利回りは意外に高い
- 世界株の20年投資では資産は平均4.6倍、リーマン直後の最悪期でも1.7倍に
- 積立投資なら「心理の罠」を防げ、急落から早く回復
私もまとめて読めて勉強になりました。
たとえば、信託報酬の差が30年後の成績にどう影響がでてくるか、知っていますか?
30年間の成績で信託報酬の違いで大きな差がでます。成績が驚くくらいに違ってくるのです。投資信託の手数料を気にしないうちは、資産は増えないということがわかります。
また、iDeCoを利用するなら受け取り方法も意外に知られていない点です。最も有利な受け取り方法はどうしたらいいのか、簡潔に指摘してくれています。
さらに、20年の投資で資産はどうなるか、イメージできているでしょうか。「長期投資で資産が増える」と説明を受けても、納得していない人もいるのではないでしょうか。
過去のデータが未来を保証するわけではありませんが、世界の株式に投資することで、20年後にどうなるかを教えてくれます。
他の本には書いていないことがきちんと書かれています。積立投資をするなら知っておきたい情報のオンパレードです。
下落局面を予言する
そして、「おわりに」もインパクトがあります。相場の下落局面がいずれ訪れることを予言してくれています。
なぜそんなことが言えるのか。根拠をもって示してくれていますので、世界市場のメカニズムの一端を知ることができます。
ここも他の本には書かれていない重要な点でしょう。
本書は、はじめての人の1冊目には向いていませんが、2冊目、3冊目に手に取りたい一冊です。
初心者を中級者に導く資産運用必携の書になっています。