2021/08/13
「つみたてNISA」って何?という人も多いのではないかと思います。2018年1月からスタートするのが「つみたてNISA」です。
2017年6月1日、正式名称が「つみたてNISA」に決まりました。
基本を理解するための3つのポイントを整理してみたいと思います。
【2018年1月4日に最新情報を反映しました。】
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金融庁が「つみたてNISA」説明会を実施
2017年4月7日に金融庁の会議室で一般投資家向けの「つみたてNISA」説明会が開催されました。
ブログ更新>> 【参加者急募!】金融庁による「積立NISA」説明会(4月7日19時00分~) https://t.co/ANzLUV38xI
— 虫とり小僧 (@mushitori) 2017年3月27日
参加者のみなさんがブログにレポートをアップしてくれています。ありがとうございます。
参加したかった自分としては、様子がわかってすっきりしました。
- 「積立NISA」説明会(金融庁会議室)に行ってきました(いつか子供に伝えたいお金の話)
- 金融庁による「積立NISA」説明会に行ってきたよ(インデックス投資トラベラー)
- 金融庁による「積立NISA」説明会に参加しました(人生もお金も海外分散する話)
- 金融庁で積立NISAの説明会に参加(シデとセルリアンの節約blog)
- 積立NISA説明会@金融庁(NightWalker’s Investment Blog)
- よくわかる積立NISA 積立NISA説明会at金融庁 参加レポート(1) 制度説明編(”いい投資”探検日誌 from 新所沢)
- 金融庁の個人向け説明会に参加 積立NISAは株式投資普及の第一歩! (ブログ:アメリカ株でアーリーリタイアを目指す)
- 3分で分かる積立NISAのすべて(Tapa’s U.S. Stocks Investment)
- 金融庁による積立NISAの説明会に行ってワイン妖怪が長官室に出没しそうになったのを無事退治した話(個人投資家テリーの投資生活チラシの裏)
- 積立NISA創設に込められた国家の意志―金融庁の積立NISA説明会に参加しての所感(The Arts and Investment Studies)
「つみたてNISA」説明会の雰囲気は、実際に参加した方のレポートを読んでもらうのが一番です。
そこで私は、これから投資をはじめてみようという人が読むことを念頭において、「つみたてNISA」のポイントを書いてみたいと思います。
制度のポイントと、説明会のブログを読んで「なるほど」と思ったところをピックアップしてみました。
つみたてNISAの3つのポイント
「つみたてNISA」は2018年1月にはじまります。現行NISAとは併用できず、現行NISAか「つみたてNISA」のどちらかを選択することになります。
詳しいことを知りたい方は、金融庁の「家計の安定的な資産形成に関する有識者会議」の資料をご覧ください。
今回の説明会でさまざまな点が明らかになりましたが、細かい点については割愛して、投資がはじめての方にとって大事だと思うポイントにしぼって紹介したいと思います。
つみたてNISAの特徴として大事だと思うのは次の3つです。
積立投資を20年間非課税とする制度
1つめは、積立投資を20年間非課税とする制度だということです。
2018年から2037年までの20年間、投資することができます。 年間40万円を上限として行う積立投資について、配当・譲渡所得を20 年間非課税とする仕組みになっています。
- 年間投資上限:40万
- 非課税期間:20年間
- 非課税枠:800万円(40万円×20年)
現行NISAは、年間120万円の非課税枠5年間です。 現行NISAと比べてみると、「つみたてNISA」は、非課税期間が5年から20年に伸びるとともに、非課税枠も600万円から800万円に拡大されます。
投資対象を「低コストの投資信託」に限定する
2つめは、投資対象を「低コストの投資信託」に限定するということです。これが「つみたてNISA」の最大の特徴でしょう。
これまでの投資の常識といえば、「金融商品を自由に選べる」というのが大原則でした。現行NISAの場合も、投資商品は基本的に自由に選べる仕組みになっています。
「つみたてNISA」で中心になるのは、投資初心者にも利用しやすい「低コストのインデックスファンド」です。 この点については、ワーキンググループの報告書の記述を紹介するのが、わかりやすいかもしれません。
報告書は、インデックスファンドについて次のように記述しています。
インデックス投信は、マーケット全体の値動きに忠実に連動することを基本とする商品である。従って、マーケットの背後にある世界経済や日本経済が成長していけば、成長に見合うリターンを実現することが期待できる。
また、値動きのわかりやすさやコストの低さといったメリットもあることから、投資初心者の利用に適しているものと考えられる。積立 NISA の対象商品としては、まずはこうした投信を基本に位置付けることが適当と考えられる。(2頁)
これから投資をはじめる人にインデックスファンドを説明するのはなかなか難しいですが、とにかく、「インデックスファンドは投資初心者の利用に適している」ということが書かれています。
ここをうまく説明していくことが課題のひとつかもしれませんね。来年は「『インデックスファンド』を投資がはじめての人に一番上手に説明する人は誰か」という点が話題になりそうです。
そして、投資対象を限定することについて、報告書は次のように記述しています。
投資初心者も含めた幅広い家計が利用するという観点からは、積立NISAの対象商品に関しては、販売手数料(購入時手数料)や信託報酬(運用管理費用)等に一定の上限を設けることとし、低コストの投資信託に限定することが必要と考えられる。
投資信託を選ぶ際には、販売手数料や信託報酬が重要だと書かれています。
これまで、日本では金融機関が投資信託を回転売買することで利益を上げてきました。そのあたりは7日の日経新聞の記事が詳しいです。
「投信販売は完全に売り手優位。顧客に寄り添った商品が必要だ」(金融庁幹部)。
記事にあるとおり、金融庁は積立NISAを「顧客に寄り添った商品」に限定する方針です。対象となるのは、約5,400本の公募株式投信のうち、今のところ50本前後だそうです。 もう一度言います。
「顧客に寄り添った商品」は、現状では5,400本の投資信託のうち50本前後
金融庁は、これを制度としてはっきりさせようとしています。
「長期・積立・分散投資」の推進
3つめは、金融庁の意向として「長期・積立・分散投資」を推進するということです。
このあたりは、金融庁のレポートを読むとよくわかります。 20年の非課税期間を設定するとともに、給料から毎月積立をしていく方法を推奨するようです。
50本のなかから、投資商品を「世界分散投資」になるよう、ポートフォリオを組むように投資教育を推進していきたいのだと思います。
「長期・積立・分散投資」を基本とする積立投資は、まさにこのブログで多くの人に知ってほしい「資産形成のコツ」です。
つみたてNISAは「投資がはじめての人を資産形成に導く制度」へ
「つみたてNISA」説明会の雰囲気は、みなさんのブログを読むとわかります。
参加されたみなさんの印象は、かなり共通点があるなと思いました。印象に残ったフレーズを引用してご紹介したいと思います。
まず、ハンチングたくまさんの感想です。投資がはじめての人もはじめやすいのでは、という点はその通りだと思います。
事実、積立NISAの条件をクリアした投資信託は約55本。 全投資信託の1%だけです。
「今まで貯蓄しかして来なかったけど、将来へ向けて少しずつ資産形成して行きたい。でも資産運用とか難しそうで何を選んだら良いか分からない」と言う10年前の私のような方は大勢いらっしゃると思う。
そう言う人でも始めやすいはず。
金融庁による「積立NISA」説明会に行ってきたよ(インデックス投資トラベラー)
monibellさんは、「成功体験を積んでほしい」という点に着目されています。
投資教育の浸透には時間もかかるし有効な手だてに乏しいので、日本人が好きな”おススメ”を用意して、まずは始めてもらって成功体験を積んで欲しいってことかな。
金融庁による「積立NISA」説明会に参加しました(人生もお金も海外分散する話)
個人投資家テリーさんは、「積立NISAは投資に興味がない、投資に踏み込めない大多数の一般国民向けの投資チュートリアル制度」と位置づけています。
大多数の国民が投資に対する恐怖心と証券・銀行業界に対する不信がある中で、積立NISAに関してははじめての投資家が踏んで死んでしまう地雷があってはならない。
「豪腕金融庁」というレッテルを張られてもやらねばならない、そういう強い意志が、金融庁から感じられるわけです。
私は感じました。
「積立NISAは投資に興味がない、投資に踏み込めない大多数の一般国民向けの投資チュートリアル制度なんだ」と。
金融庁による積立NISAの説明会に行ってワイン妖怪が長官室に出没しそうになったのを無事退治した話(個人投資家テリーの投資生活チラシの裏)
はちどうきゅうどうさんも、「「株を買う」という行為を普及させる第一歩」と指摘しています。そして、金融庁の方の熱意を口にする感想も多かったのが印象的でした。
積立NISAは「株を買う」という行為を普及させる第一歩という位置付けを担っている。
株式投資を広く普及させるという観点から見ると、この制度はとても魅力的・有意義であるし、国民の為を思って考え抜かれた上で設計されたのだと私は感じる。
おまけに制度設計者の方は熱意をもって仕事をしている。
制度の中身を知るとともに、設計者の人柄を知ることができると見える景色が変わる。 この制度がどんどん広がっていけば良いな、本当にそう思う。
金融庁の個人向け説明会に参加 積立NISAは株式投資普及の第一歩! (アメリカ株でアーリーリタイアを目指す)
菟道りんたろうさんはひと味違う視点です。「国家の意思」を指摘されています。金融レポートを読むと、アメリカやイギリスとの家計資産の違いを金融庁が意識していることがよくわかります。
国は国民の間で株式投資が普及し、ストックを活用した成熟経済における成長モデルへの転換を目指していると感じます。
そしてストックの活用とは、日本に投資することではありません。 それよりも海外資産に投資することの方が重要になる。
日本経済は成熟していて大きな成長が見込めないからこそ、逆に海外に投資することで、海外から富を日本に還流させることが求められる。
だからこそ積立NISAでは国際分散投資が強烈に要請されているのです。ここにもまた国家の強烈な意志があるのです。
積立NISA創設に込められた国家の意志―金融庁の積立NISA説明会に参加しての所感(The Arts and Investment Studies)
金融庁のねらいは、手数料が安く、初心者に使いやすい商品をもっと増やすことで、投資がはじめての人も資産形成ができるように制度設計をするというところにあります。
積立NISAは、「投資がはじめての人を資産形成に導く制度」ということがいえそうです。多くの人を「世界分散投資による資産形成」に導くことが、国家としての発展にもつながります。
貯蓄から資産形成へ
説明会の話を知って、日本の家庭資産のお金の流れを本気で「貯蓄から資産形成へ」移行させたいという金融庁の「気合い」を感じました。
一番の課題は、「長期・積立・分散投資」を基本とする「つみたてNISA」をどうやって普及させていくかというところでしょうか。
世の中の多くの人は、インデックスファンドを知りません。多くの人に利用を促すためには、わかりやすいシンプルな制度設計も不可欠です。
金融庁の方には、引き続き頑張っていただきたいと思います。 多くの人が「つみたてNISA」を利用して資産形成ができるようになるといいですね。
以上、「つみたてNISA」って何?「つみたてNISA」を理解する3つのポイント…という話題でした。
参考リンク:
「つみたてNISA」の対象となる投資信託のスクリーニング条件は決まっています。予想される商品一覧を作成してみました。
金融庁のレポートを読むと、金融庁の考え方がよくわかります。詳しいことに興味がある方は、こちらを参考にしてください。
長期的に期待したいのは、積立NISAの非課税保有期間の恒久化です。すぐにとはいいませんので、「投資信託を使った資産形成」が文化として根付くためのアイディアとして、ぜひ前向きに検討してほしいと思います。
NISAで参考にした「本家」イギリスでは、18歳から40歳対象のボーナス付き積立支援制度がスタートしています。投資教育を推進するひとつの方法です。金融庁にも柔軟な発想で頑張ってほしいです。