2021/08/13
今日の日経新聞夕刊に「三菱UFJ国際投信、投信手数料「常に業界最低」に」という記事が掲載されました。
「eMAXIS」シリーズの国内外インデックス投信4本について、ライバル各社に連動して信託報酬を「常に業界最低」にするというものです。
もしこれが本当に実現するなら、日本の投資環境にとって大きな意味をもちます。そのあたりのことを書いてみたいと思います。
【2017年2月10日に追記しました。】
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「eMAXIS」の信託報酬引き下げ
「eMAXIS」シリーズの4本のインデックスファンドを業界最低水準に引き下げるとあります。記事には次のように書かれています。
対象はインターネット専用投信「eMAXIS」シリーズのうち4本。国内外の株式、債券で市場平均並みの収益を狙う「パッシブ型」投信だ。
東証株価指数(TOPIX)連動型の信託報酬は年0.4%からニッセイアセットマネジメントと同じ0.18%に、国内債券型は0.4%から大和証券投資信託委託と並ぶ0.14%に見直す。ともに業界最低水準となる。
記事にあるとおり、現時点でのインデックスファンド最安は他社の投資信託です。
TOPIX連動のインデックスファンド最安は、「<購入・換金手数料なし>ニッセイTOPIXインデックスファンド」です。信託報酬は0.18%(税込0.1944%)です。
日本債券のインデックスファンド最安は「iFree 日本債券インデックス」です。信託報酬は0.14%-0.22%(税込0.1512-0.2376%)です。
記事には「eMAXIS」シリーズの「国内外の株式、債券」のインデックスファンド4本を対象とすると書かれているだけで、どれなのかははっきりしません。
ですが、少なくともTOPIXと日本債券型のインデックスファンドは、最低水準の信託報酬に見直す方向のようです。
また、記事のなかには次のような一文もあります。
「常に最低」を打ち出せば、過度な手数料の引き下げ競争に歯止めがかかるとの読みもある。
たしかに、もし「常に業界最低」水準にするということを三菱UFJ国際投信が宣言すれば、他社に対するインパクトは絶大です。個人投資家にも大きくアピールすることになります。
まだ正式なプレスリリースはありませんので、本当かどうかはこれからの展開次第です。
もし本当なら投資環境は大幅に改善される
もし「eMAXIS」シリーズの信託報酬引き下げが実現すれば、投資環境は大幅に改善されます。
というのも、現状では低コスト投信の販売ルートは限定されているからです。
低コスト投信の販売ルートは限定されている
現時点では、低コストの投資信託を購入できる販売ルートは非常に限定されています。
現在、低コストのインデックスファンドシリーズとして代表的なのは、ニッセイアセットの「購入・換金手数料なし」シリーズ、アセットマネジメントOneの「たわらノーロード」シリーズ、大和投信の「iFree」シリーズです。
現在、最安のインデックスファンドシリーズが買えるのは、主要ネット証券4社と、ごく一部の金融機関に限られます。
低コスト投信を利用するには、ネット証券を利用しなければいけないことに気づける知識と、信託報酬がリターンに影響するという金融リテラシーが必要とされています。
「eMAXIS」シリーズなら全国に販路
「eMAXIS」シリーズなら全国の金融機関で購入することができます。ホームページによれば、現時点で60以上の金融機関で販売されています。
ネット専用の場合が多いですが、それでも広く販路を確保しているのが「eMAXIS」シリーズの特徴です。
下記の金融機関で購入することが可能です。
来年から積立NISAもはじまる予定です。
身近な金融機関で最低コストのインデックスファンドが買えるのであれば、普段利用している金融機関で積立投資をはじめることも可能な環境が実現します。
「eMAXIS」シリーズを展開する三菱UFJ国際投信は、広く販売ルートを確保しつつ、信託報酬を引き下げることで投資信託の全国制覇を狙いに行くという戦略なのかもしれません。
投資環境が大幅に改善されることになります。
正式発表が楽しみ
数年前から積立投資を続けている人のなかには、三菱UFJ国際投信の「eMAXIS」シリーズに愛着がある人も多いのではないでしょうか。
そういう私も、積立投資をはじめるときに「eMAXIS 新興国株式インデックス」を選んで、数年にわたって積立をしていました。そういう意味では、お世話になった低コスト投信シリーズです。
低コスト競争から離脱したのかと思っていましたが(失礼)、これが本当ならば喜ばしいニュースです。
長期投資ではわずかな手数料が収益に大きく影響します。正式発表を楽しみにしたいと思います。
正式発表がありました【追記】
2017年2月10日に三菱UFJ国際投信からプレスリリースがありました。
日経新聞の記事から憶測した部分もありましたが、3つの意味で内容が異なるものでした。
- 既存の投資信託の信託報酬引き下げではなく、新規ファンドの設定
- 「eMAXIS Slim(イーマクシススリム)」として、既存の「eMAXISシリーズ」とは別の扱い
- 当初の販売はネット証券4社のみ
低コスト競争には参入しましたが、既存の投資信託の信託報酬の引き下げではなく、新規ファンドの設定でした。また、広く販売ルートを確保している既存の「eMAXIS シリーズ」とは別扱いというものです。
日経新聞の記事は、既存の「eMAXIS」シリーズを例示したうえで信託報酬を「見直す」という表現だったので、既存の投資信託を見直すのかと思いましたが、だいぶ違う内容でしたね…。
この新しいシリーズが今後どれくらいの販売会社で扱われるかがポイントになります。投資環境の大幅な改善は、まだまだ時間がかかりそうです。
むしろ、積立投資をするならネット証券を利用することが必須の条件ということを印象づける結果となりました。
以上、「eMAXIS」シリーズが信託報酬を引き下げれば、投資環境は大幅に改善される…という話題でした。
参考リンク:
現在、低コストインデックスファンドを幅広く購入できるのは、じつはネット証券だけです。積立投資をするなら、ネット証券を選んで投資信託の選択肢を確保しておくのが賢い選択だと思います。
現時点での各資産クラスの最安のインデックスファンドがどれなのかは別記事でまとめています。参考にしてください。