2021/08/13
昨日の日経新聞に「ハーディング現象」について紹介がありました。
行動経済学の理論ですが、積立投資にも役にたつ考え方です。紹介したいと思います。
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ハーディング現象とは
「ハーディング現象」とは、周りに同調して動くことです。「ハーディング(Herding)」とは、英語で「(動物の)群れ」を意味します。
日経新聞の記事には、「人と同じ行動をすることで安心感を得ようとする群集心理」だとあります。
足元で株価が勢いよく上がっている銘柄や、売れ筋になっている金融商品に手を出して失敗した経験はないだろうか。大多数の人と同じ行動をすることで安心を得ようとする群集心理が生み出す「ハーディング現象」に惑わされ、自分自身の冷静な投資判断を貫けなかったのかもしれない。
ハーディング現象の典型は、ブームに乗り遅れないようにする行動です。周りに同調して動くことで、心地よさを得ることができます。
たとえば、買い物のときは、「バーゲンなどの安いときに買い、高いときに買い控える」ことができる人が多いと思います。
しかし、投資の場面において、買い物のときとは対照的な行動になるのが「ハーディング現象」の典型です。株価が好調のときに買い、安値のときに買い控えるといった行動をとってしまいます。
野村證券のホームページにも「ハーディング現象」について詳しい説明があります。
人間は、合理的な観点から物事の判断をしたり、自らの行動を決定するよりも、多くの人々と同じ行動をとることに安心感を抱き、周りに同調したり他人の行動に追随してしまう傾向があること。集団から外れたくないという心理から、多くの人間が非合理的な判断に基づく行動をとっていても、そのなかで自分一人が合理的な行動をとることは困難であり、自分の持っている情報を無視してでも非合理的な行動に同調してしまう結果、集団として間違った方向性にいってしまうことがある。行動経済学上において、このような群衆心理に基づく行動のことをハーディング現象と呼ぶ。
ハーディング現象とは、「集団の非合理的な行動に同調してしまうために、間違った方向性にいってしまうこと」です。
よくわかる話です。投資の場面でもこの「ハーディング現象」が厄介です。
積立投資の場面ではどうなるか
積立投資の場面ではどうなるでしょうか。ではかんたんなシミュレーションをしてみましょう。
【シミュレーション】
あなたは積立投資をはじめましたが、その1年後にリーマンショック級の下落相場に遭遇しました。テレビでは悲観的なニュースが連日流れています。自分の証券口座も約25%のマイナスになっています。
個別株投資のアドバイスでは、「早めの損切りをしないから悪い」、「塩漬けは最悪」などと言われています。積立投資をしている人のなかにも、積立をやめてしまう人や投資信託を売却してしまう人が相次ぎます。積立投資を続ける人のことを馬鹿にする人まででてきました。
さて、どうすればいいでしょうか?
20年以上の長期投資を想定するなら、下落相場には必ず遭遇するでしょう。どうすればいいのでしょうか。
下落相場の対応が大事
下落相場でどうすればいいかというと、「ハーディング現象」に逆らうことです。
これは頭で理解していても難しい行動です。多数と同じ行動をしたほうが心地よく感じるからです。まさに「ハーディング現象」です。
下落相場では多数の行動に逆らい、いつも通りに積立投資をできるかどうかが成功と失敗の分かれ目です。自動積立の仕組みにして、自分の気持ちと関係なく投資できるようにしておくことが対策のひとつです。
シミュレーションにある25%のマイナスという言葉に、「そんなに減るの?」と動揺した人もいるかもしれません。そういう方は自分のアセットアロケーションを見直して、リスクのとりすぎになっていないか確認するといいと思います。
リスクをとりすぎると、下落相場で怖くなって投資を続けることが難しくなります。
こういう話は下落相場の最中では書くことも難しいと思います。今のうちに書いて、下落相場に遭遇したら、自分自身でこの記事を読み返そうと思っています。
積立投資では仲間やメンターが必要だというのも、こういう現象に打ち勝たなければならないからかもしれませんね。
以上、「ハーディング現象」ってなに?積立投資での傾向と対策…という話題でした。
参考リンク:
多くの個人投資家が残念な売り方をしてしまいます。「ハーディング現象」に巻き込まれないことが大事です。
インデックスファンドの積立投資であれば、損切りを考える必要はありません。時間を味方につけて積立していくことが大切です。
下落相場が怖いという人はリスクを取り過ぎている可能性があります。無リスク資産を保持することで、自分のリスク許容度にあわせたリスクをとることが大事です。