2021/08/13
マイナス金利政策の影響で日本債券クラスを何に投資するのかが悩みのひとつになりつつあります。
日本債券クラスは、その割合を高めるほど、リスクを抑えた資産運用ができます。最近では個人向け国債(変動10年)の良さが改めて見直されています。
自分の場合、日本債券クラスは個人向け国債(変動10年)とDLIBJ 公社債オープン(短期コース)を、1対1の割合で購入しています。
DLIBJ 公社債オープン(短期コース)を知らない方もいると思うので、なぜDLIBJ 公社債オープン(短期コース)を買い続けているのか、その理由について書いてみようと思います。
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DLIBJ 公社債オープン(短期コース)とは
DLIBJ 公社債オープン(短期コース)とは、公社債、特に社債に広く分散投資するアクティブファンドです。
BBB-格以上の国内の公社債を中心に、中長期的な観点でリスクの軽減に努めながら投資します。NOMURA-BPI 国債短期(1-3)をベンチマークとし、これを上回る投資成果をめざすというファンドです。ファンドのデュレーションは、原則0年から3年程度で調整されています。
なお、兄弟ファンドとして、もう少し中長期の国内債券を扱うDLIBJ 公社債オープン(中期コース)というのもあります。こちらは、楽天証券アワードで最優秀ファンドとして表彰されています。
知ったきっかけはカン・チュンドさんの本
DLIBJ 公社債オープン(短期コース)を知ったのは、カン・チュンドさんの「忙しいビジネスマンでも続けられる 毎月5万円で7000万円つくる積立て投資術 (アスカビジネス)」を読んだことがきっかけでした。
2012年当時、日本債券クラスのインデックスファンドは信託報酬が今ほど低コストになっておらず、このファンドが最も低コストの日本債券クラスのひとつでした。広く国内の公社債に投資しているファンドというのは、現在でも他にはほとんどないという状況です。
最近は少なくなりましたが、インデックス投資ブロガーの方にもDLIBJ 公社債オープン(短期コース)は人気がありました。
DLIBJ 公社債オープン(短期コース)の特徴
DLIBJ 公社債オープン(短期コース)の特徴は、アクティブファンドなのにノーロードで低コストだということです。信託報酬がインデックスファンド並みに低く、1999年から長く運用されています。目論見書や運用報告書も丁寧に扱われています。
たとえるなら、「長く続く良心的な寿司屋のこだわりの職人」といった感じでしょうか。たとえが正しいかはわかりませんが、個人的にはそんなイメージです。
信託報酬もリターン次第で変動するという、おもしろい仕組みをとっています。
- 信託報酬:年率0.324%~年率0.432%(税抜0.30% ~税抜0.40%)
- 信託財産留保額:0.05%
- 決算:年2回(3月21日、9月21日)
ちなみに、信託報酬は、ベンチマークの単利利回りが1%未満だと年率0.324%、1%以上3%未満だと年率0.378%、3%以上だと年率0.432%となります。最近は年率0.324%のことが多い状況です。
組入上位10銘柄は以下の通りです。現在の投資比率のトップは、神奈川県を中心に鉄道事業等を営む相鉄ホールディングスの社債です。その他にも、ジャックスやパナソニック、住友商事など、なじみのある会社名が並びます。
こうした社債は、個人の資産では到底保有することが難しい商品です。投資信託のしくみで、少額ながらこうした社債に投資をすることができます。
2012年にシャープ転換社債で下落
私は2012年5月に投資をはじめましたが、投資を始めてすぐに下落を経験しました。
2012年8月に、シャープの経営難でその転換社債の価格が下落したことが原因でした。比較的安全とされる国内債券クラスですが、どうなるかとドキドキしたことをおぼえています。
その後、DLIBJ公社債オープン(短期コース)は、保有していたシャープ転換社債を早い段階で全て売却しました。下記は当時の報告書の一部になります。潔い対応(損切り)に、アクティブファンドらしさを感じた瞬間でした。
ベンチマークとの差異およびその要因当ファンドはベンチマークを0.21%下回りました。利回りの高い短期社債の利息収入、信用リスクスプレッドの縮小(社債価格の上昇)はプラス要因となりま したが、シャープの転換社債の価格が下落したことなどがマイナス要因となり、ベンチマークを下回りました。シャープの転換社債については、シャープが2012年4-9月期決算で大幅な赤字を計上したことに加え主力の液晶事業の苦戦が続く内容であったことにより価格が下落し、当ファンドの基準価額も下落しました。クアルコム社との提携等への期待から、2012年11月中旬以降転換社債の価格は上昇に転じましたが、当ファンドでは、シャープの経営環境は厳しい状況が依然として継続しており、不透明感が強く信用リスクが大きいとの判断から、価格上昇局面も含め徐々に売却を進め、当期末時点でのシャープの転換社債の保有はございません。
【参考】DIAMの「DLIBJ公社債オープン(短期コース)」、シャープCB保有で急落
自分のお金が日本社会に貢献している、かも?
このシャープの転換社債の一件は、どうなるかとドキドキしたわけですが、それと同時に自分のお金が日本社会に関係しているという感覚を持てた出来事でした。
DLIBJ公社債オープン(短期コース)に投資を続けているのは、公社債に投資することで、微力ながら自分の投資が日本社会に貢献している(かもしれない)と思わせてくれるファンドだということが大きな理由です。
もちろん、インデックスファンドも日本を含めた世界各国の発展に貢献しています。ただ、その実感が少ないというのもインデックスファンドの特徴です。
国内債券クラスは、すべて個人向け国債(変動10年)に割り振るのが合理的なのかもしれませんが、自分の投資が日本社会に貢献しているかも?と思えることが、案外心地よかったりします。
それなりに低コストですが、リスクもないわけではありませんので、DLIBJ公社債オープン(短期コース)が特にいい投資信託だというつもりはありません。
心地よい投資先は人それぞれです。自分が投資したいと思えるものに投資することが長続きのコツだと思います。
そんなわけで、低コストにはこだわりつつ、日本債券クラスはDLIBJ公社債オープン(短期コース)にも投資しています。
【追記】
2012年以来、積立を続けていたDLIBJ公社債オープン(短期コース)ですが、2016年7月に全て売却しました。
現在は日本債券クラスは個人向け国債変動10年で運用しています。