2021/08/13
川部紀子さんの『得する会社員 損する会社員 手取りを活かすお金の超基本』を読みました。
タイトルの通り、お金の超基本がわかるとともに、働き方、介護、年金など、会社員なら知っておいたほうがいい知恵についても教えてくれる本になっています。
この本が説明するお金の知識を理解しているかどうかで、人生の歩みは変わります。多くの会社員の方に読んでほしい一冊です。
sponsored link
目次をタップすると見出しにとびます
著者の川部紀子さんとは
著者の川部紀子さんは、北海道でファイナンシャルプランナー・社会保険労務士をしている方です。
道民の皆さんであれば、ラジオやテレビで知っているという方も多いと思います。著書『まだ間に合う 老後資金4000万円をつくる! お金の貯め方・増やし方』も好評でした。
その川部さんの新刊になります。
ふいに立ち寄った紀伊國屋書店札幌本店で平積みになっていたのを見つけ、立ち読みをしたところおもしろかったので購入したのでした。
損得の分かれ道!チェックシート
最初のページにあるのが「損得の分かれ道!チェックシート」です。
このチェックシートにあてはまる人は、この本で有益な知識を得ることができます。
みなさんは、次の項目のうち、当てはまるものはいくつあるでしょうか。
- 給与明細をもらったら、振込額しか見ない
- 貯蓄といえば給与が振り込まれる口座に残ったお金だけ
- 先月ATMでいくら引き出したか覚えていない
- 日経平均株価の「平均」がなんの平均か分からない
- 投資ってギャンブルみたいでなんだか怖い
- 賃貸は家賃がもったいないから持ち家を買うべきだ
- 年金なんか元が取れないし当てにできない
- 同じ仕事で同じ手取りならフリーになりたい
- 節約と貯蓄はすればするほど素晴らしい
- 老後のお金は心配だけど何も対策していない
いかがでしょうか。みなさんは、当てはまるものはあったでしょうか。
「あれ…、チェックシートの通りに考えているけどダメなの…?」と思う人は、本書を読む価値があると思います。
この本を読めば、チェックシートでの疑問点をすっきり解消できるという仕組みになっています。
本書の特徴
本書の特徴は、次の3点にあると思います。
第1は、会社員のお金の基本を教えてくれるところです。
この本は、給与明細の見方や年末調整、源泉徴収から話をスタートさせます。
もちろん、給与明細の見方などについては、わかっている人もいると思いますが、そんな会社員の基本の部分から話をスタートしてくれますので、前提知識がない人でも安心して読み進めることができます。
これまでたくさんの投資本やお金の本を読んできましたが、給与明細からスタートする本は、私自身ははじめて読んだ気がします。
その上で、お金を貯める方法として、先取り貯蓄で仕組みを作ることを推奨しています。
給与明細という会社員の入口から、保険、ポイント投資、リボ払い、キャッシング、親の介護、退職金の話題や、公的年金や相続まで、この一冊で様々なお金の知恵を知ることができます。
お金の基本をまっとうな形で展開しているのが本書の1つの特徴です。
第2は、会社員に関する制度を丁寧に説明してくれているところです。
健康保険、障害年金、労災、失業保険など、会社員なら用語くらいは聞いたことがあると思いますが、自分にとってどういうメリットがあるか把握しているでしょうか。
健康保険、障害年金、労災、失業保険などが自分にとってどんなメリットがあるのかをわかりやすく説明してくれるとともに、医療保険や生命保険の使い方、さらには、フリーランスやFIREなどの話にも話題を展開してくれています。
さまざまなリスクを知ることも大事なことです。お金や働き方も含めて、まっとうな生き方やリスク管理の仕方を教えてくれます。
第3は、投資について基本的なところから説明をしてくれているところです。
本書は、いわゆる投資本とは違って、投資の入口に近づけてくれる内容になっています。
印象的だったのは、投資の意義は、「社会にとって必要不可欠な仕組みに参加する、自分の大事なお金を参加させること」と指摘しているところです。
「投資」とは何か、というところを丁寧に説明してくれている点もいいところだと思いました。投資信託やつみたてNISA、iDeCoなどの基本についても説明してくれています。
また、川部さんご自身が、ネット証券でどんな投資をしているかも書いてくれていますので、投資を身近に感じることができると思います。
お金の知識があれば人生が歩みやすいものになる
川部さんは、序章で次のように書いています。
実は日本では、家庭でも学校でも社会でも、お金に関する「知識」を学ぶ機会は非常に少ないのです。例えば「無駄使いはいけない」「貯金しなさい」と母親にいわれた程度ではないでしょうか。義務教育で、税金や社会保険、預貯金やローン、投資の基本、クレジットカードなどのキャッシュレス決済、不動産、相続など、個人の家計に関わるお金の基礎知識を学んでいけたら、もっと人生が歩みやすいものになると思いませんか?
川部さんが指摘するとおり、お金の知識は、学校で学ぶ機会はほとんどありません。
現状では、自分で学ぶしかないのがお金の知識です。
お金の知識があると、人生は歩みやすいものになると私も思います。
本書は、全体を通じて、川部さんのセミナーを受けているような気分になれる本です。
私はラジオやテレビで知っているので、いかにも川部さんらしい感じが文章から伝わりました。
そして、あくまで私の感想ですが、この本はどこか「北海道の人が書いた本だな」と思わせる部分があります。歯切れがいいのです。道民のみなさんには特に心地いいと思います。
お金についてこれまであまり知る機会がなかった人に合わせて、会社員に必要なお金の知識を説明してくれる本というのは、じつはあまり多くありません。
新書サイズでコンパクトにまとまっています。
会社員に必要なお金の基本を身につけることができる有益な1冊になっています。