2021/08/13
竹川美奈子さんの新刊『こんなときどうする? どうなる? Q&A 3つのNISA 徹底活用術』を読みました。
投資がはじめての人にとって、NISAの仕組みは複雑に感じるところです。
本書は、3つのNISAの仕組みとiDeCoの利用法も含めて、Q&A方式でNISAの基本をわかりやすく学ぶことができる良書だと思いました。
あまり知られていない点も書かれています。これから資産形成をはじめてみたい人から、投資の相談にのるアドバイザーの人まで、NISAのあらゆる疑問点を解消できる内容になっています。
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本書の特徴
本書の特徴は次の3点にあると思います。
NISAの仕組みがわかる
1つ目の特徴は、3つのNISAの仕組みをわかりやすく説明してくれているところです。
利益に税金がかからないNISAは、資産形成に有利な仕組みです。
ですが、NISAには、つみたてNISA、一般NISA、ジュニアNISAの3つの種類があります。しかも、一般NISAは新NISAに移行し、ジュニアNISAは廃止になります。
投資がはじめての方にとっては、どれを利用すればいいのかよくわからない、複雑に感じる…といった人も多いと思います。
本書は、用途別に利用方法を整理してくれていますので、きちんと仕組みを理解して物事を進めたい人はこの本を読めばすっきりと理解できます。
Q&Aですっきりわかる
2つ目の特徴は、Q&A方式で多くの人が疑問に思っている点をすっきり説明してくれているところです。
NISAの疑問点を本書はQ&A方式でシンプルにまとめてくれています。
たとえば、こんな質問にも答えてくれています。
Q これから投資を始める場合、一般NISAとつみたてNISA、どちらを利用したらよいでしょうか?
投資をはじめたい人の多くが、疑問に思うところですね。
そういった基本的な点も、次のようにわかりやすく答えてくれています。
どちらを選ぶかですが、資産形成の土台づくりとして、非課税口座を活用して投資信託を積み立てていく方針なら、つみたてNISAをおすすめします。理由は、
・制度がシンプルである
・非課税期間が20年
・一般NISAのようにロールオーバーの手続きをする必要がない
・2042年まで新規で投資できることが決まっている(新NISAは2028年までしか決まっていない)
などがあげられます。
本書が指摘する通り、これから投資をはじめるなら、つみたてNISAを利用するのが最適解となります。
なぜそうなるのかも、本書では竹川さんが隣で説明してくれているような感覚で、具体的に説明してくれています。
こうした基本事項に加え、一般NISAやジュニアNISAを利用した場合にはどうなるのか、非課税枠を大きく利用するにはどうすればいいのかなど、制度の深いところについても説明してくれています。
NISAの仕組みの基本をすっきり理解することができると思います。
資産形成のノウハウがわかる
3つ目の特徴は、NISAの活用法から出口戦略まで、資産形成で必要なノウハウがシンプルにまとめられているところです。
投資と言うと難しく感じる人もいるかもしれませんが、本書を読めば、つみたてNISAを活用して、シンプルに低コストのインデックスファンドを着実に積み立てをしていくことが正しいということが理解できます。
正しいことを続けていくというのは、思った以上に難しいことです。
やはり基本を理解していないと、続けていくことができなくなることもあります。
本書では、「つみたてNISAで20年積み立てても、最後に暴落して損をすることはないのでしょうか?」といった話題もあります。
これから投資をはじめる人にとって、多くの人が疑問に思う点だと思いますが、この本ならいろんな疑問を解消することができると思います。
豊かで充実した人生につながる
私は、「おわりに」に書かれていることに非常に共感しました。
竹川さんの気持ちはここにあらわれているように思います。
お金は幸せに暮らすための手段です。
私たち生活者のお金を社会にまわし、会社と社会の持続的な発展を支え、そして、それが自分たちに返ってくる。資産形成ができて、豊かで充実した人生につながる――そんな流れが少しずつ広がっていってほしいと思います。
投資と言っても、いろいろなものがあります。
リスクの高い商品に手をだして失敗したり、間違った方法を選択してしまうということもあるわけです。
結局は、正しい方法を理解してそれを続けていくことが、多くの人にとっての最適解になります。
本書をきっかけに、NISAなどの非課税枠を使って、本来の資産形成や投資に目を向ける人が増えるといいなと思います。
私は、つみたてNISAと、子ども2人のジュニアNISAを活用していますが、ジュニアNISAのロールオーバーの仕組みや廃止後の取扱い等について知らなかった点も多く、改めて考え方を整理することができました。
制度の基本から出口戦略まで、制度改正をふまえて、NISAのあらゆる疑問点を解消できる貴重な1冊です。