2021/08/13
アメリカの債券市場で期間10年の金利が急低下し、3カ月物の金利を下回る「長短逆転」現象が起こりました。
2007年8月以来、11年半ぶりのことだそうです。
長短金利の逆転は「景気後退の予兆」とも言われていますが、長短金利の逆転はなぜ景気後退の予兆なのか、疑問に思う人も多いと思います。
そこで今回は、長短金利の逆転について、かんたんにまとめてみたいと思います。
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長短金利の逆転とは
長短金利の逆転とは、債券の長期金利が低下し、短期金利を下回る現象をいいます。
通常、長期債のほうが金利が高いわけですが、長期債が買われることで、長期債の金利が低下し、長短金利が逆転することになります。
日本経済新聞の記事がわかりやすいです。
長短金利の逆転は異例の現象だ。通常、貸し借りの期間が長い金利の方が高くなる。将来の成長に伴う金利上昇が想定されるほか、貸し倒れリスクも高まるためだ。
だが、市場で景気不安が特に強くなると、将来の利下げを織り込む形で、長期金利が大きく低下し、短期金利を下回ることがある。これが長短逆転で、期間ごとの金利をつないで描く「イールドカーブ」が通常とは逆に「右肩下がり」の形状となるため、「逆イールド」とも呼ばれる。
逆イールドは「不況の予兆」とされる。調査会社ビアンコ・リサーチが過去50年の米国の状況を調べたところ、10年と3カ月の金利の逆転状態が10日続いた場合、平均で311日後に景気後退が始まる結果になった。
長短金利の逆転という現象は、長期債が買われているということです。
FRBの発表などを受けて、お金が保守的な方向に動いているということですね。
長短金利の逆転はなぜ景気後退の予兆なのか
長短金利が逆転する「逆イールド」は景気後退の予兆とされています。
では、なぜ長短金利の逆転は景気後退の予兆になるのでしょうか。
楽天証券のトウシルのコラムがわかりやすかったのでご紹介します。
それは「銀行が貸し出しを控える」ようになるからです。
それでは長短金利が逆転するとなぜリセッションが訪れるのか? それはズバリ「銀行が貸し出しをできなくなる=経済に血液が回らなくなる」からです。
…通常、短期金利が長期金利よりも低いので、これが銀行の利益につながります。しかし、短期金利が上昇し長期金利との差が縮小すると、銀行は貸しても利益が出ないので、貸し出しを控えるようになります。
長短金利の逆転により、銀行はお金を貸しても利益がでないので、貸し出しを控えるようになります。
お金の流れが滞ることをきっかけに、市場の混乱が実体経済に波及し、不況を引き起こすこともありうる、というわけです。
いつ景気後退局面がくるのか
では、すぐに景気後退局面がくるかというと、過去のデータではそうともいえないようです。
広瀬隆雄さんがツイートしています。
過去に「金利差0」が来たとき、「株は即、売り?」と訊かれればその答えは「NO」です。少なくともまだ1年くらいは「火遊び」オッケー。 pic.twitter.com/PG4bCgq34Y
— 広瀬隆雄 (@hirosetakao) 2019年3月26日
過去のデータでは、1年以上後に景気後退の局面がきています。
実際に過去の長短金利のグラフをみてみるとわかりやすいです。
グラフからわかるように、過去のデータでは、長短金利の逆転した時点から、1年程度先の段階で景気後退局面がきていることがわかります。
今回、逆イールドの状態が長く続くのか、これまで通り景気後退の動きになるかどうかは私にはわかりません。
ですが、過去のデータからわかることは、長短金利の逆転が続くことは実体経済に波及するということです。
リスクを確認しておこう
積立投資でリターンを得るための大原則は、バイ・アンド・ホールドです。
ですので、こうした報道を受けて、慌てて売ったり買ったりしないほうが賢明だと私は思います。
自分のリスク許容度の通りに資産がなっていれば、そのままバイ・アンド・ホールドが王道の対応です。
私は毎月の積立を継続しながら、自分の資産のリスクを確認して、景気がどちらに転んでも対応できるようにしておきたいと思います。
気持ちの準備もしておきたいですね。
以上、長短金利の逆転はなぜ景気後退の予兆なのか?…という話題でした。
参考リンク:
暴落を前にインデックス投資家が考えるべきことはひとつです。結構シンプルです。
自分自身に損をすると感じさせないことが大切です。そんなことができるの?と思う人は参考にしてください。
下落相場が予想されるならはじめないほうがいい?と思う方はこちらを。どの世界も「安く買って高く売る」のがお金を増やす大原則です。