2021/08/13
北村慶さんの新刊『金融のプロが実はやっている 最もシンプルで賢い投資の結論』を読みました。
投資をこれからはじめたいという人は、「どうやったらリスクをおさえながら資産を増やせるか」が気になると思います。
本書は、「長期・分散・積立投資こそが、普通の市民が行うべき投資の王道である」ということを、投資の理論も含めてわかりやすく説明してくれています。
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本書の3つの特徴
この本の特徴は、以下の3点にあるように思います。
分散投資の必要性
1つ目の特徴は、分散投資のメリットについてわかりやすく記述しているところです。
本書が取り上げている理論のひとつが、ノーベル経済学賞を受賞したハリー・マーコビッツ氏のモダン・ポートフォリオ・セオリーです。
こうした投資の基本を支える理論について、そのポイントをわかりやすく説明する書籍はそう多くありません。
資産を分散することがなぜリスクを下げるのかという点について、説明を加えてくれている点が、この本の有益な部分だといえます。
バランス型投資信託の活用
2つ目の特徴は、バランス型投資信託の活用を推奨している点です。
最近は、コロナ後に米国株が好調なこともあって、バランス型投資信託を選ぶ声は小さくなっていますが、初心者の人にとってリバランス不要で分散投資ができるなどのメリットが多いのが、バランス型投資信託です。
難しい理屈抜きで、リスクを抑えながら投資ができると言う点において、バランス型投資信託は優れています。
実際の運用実績も示しながら説明してくれていますので、「投資がはじめてだけど、リスクが怖い…」といった初心者の人は、どれを買えばいいのかをはっきり書いてくれていますので、この本をきっかけに納得感をもって投資をスタートすることができると思います。
投資の応用にも言及
3つ目の特徴は、投資の応用にも言及しているところです。
バランス型投資信託を活用しつつ、米国株式や全世界株式のインデックスファンドをトッピングすることを推奨しています。
また、つみたてNISA、iDeCoの活用法、暗号通貨などの別資産とのつきあい方もシンプルにまとめてくれています。
手を出してはいけない方法などにも触れていますので、はじめての人にも参考になる部分は多いと思います。
普通の市民にとっての最適解
世の中には、「資産形成に興味があるけれど、まだ投資をスタートできていない」という人は、案外多いのではないでしょうか。
そうした人にとって、リスクを低減する方法を理解しつつ、長期・分散、積立投資で資産を形成していく方法を教えてくれる、最初の一歩になる一冊です。
リスクをとって大胆な投資を実践できる人は、じつは一握りの人で、誰でも最初からできるわけではありません。
本書が推奨する投資法が「普通の市民にとっての最適解」といえるでしょう。
いうまでもなく、株式市場というものは、世の中の情勢を反映していい時も悪い時もあります。
悪い時を乗り越える方法を意識しながら自分のスタンスを築いていくためには、裏づけのある必要な知識を理解することが大切です。
私はこの本を読んで、久しぶりにバートン・マルキール教授の『ウォール街のランダム・ウォーカー』を読み返しました。
モダン・ポートフォリオ・セオリーから導かれる内容は、奥が深いですが、そのポイントを理解すれば長期投資に役立ちます。
本書のおかげで、原点に立ち帰ることができました。
「王道といえる投資法」を丁寧に、そしてわかりやすく説明してくれる一冊になっています。