2021/08/13

MSCIは、アルゼンチンとサウジアラビアを2019年5月から新興国市場指数に組み入れることを発表しました。
来年から、新興国株式クラスのインデックスファンドを購入すると、アルゼンチンとサウジアラビアにも分散投資することになります。
この2国のことを調べてみると、なかなかおもしろいです。かんたんにご紹介したいと思います。
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アルゼンチンは10年ぶりに新興国市場に分類
アルゼンチンが「新興国市場」に分類されるのは、約10年ぶりになります。
アルゼンチンは「新興国市場」に分類されていたのですが、2009年に「新興国市場」から「フロンティア市場」に格下げされました。
アルゼンチン当局が資本流出を防ぐ規制を強化したことが原因とされています。
ただ、その後は市場開放の努力が続けられ、市場も少しずつ健全化してきたようです。
アルゼンチンのメルバル指数もここ10年は堅調だったようです。
もっとも、今年に入ってからは、アルゼンチンはドル高と米国債利回りの上昇の影響で株価下落と通貨安に見舞われて、国際通貨基金(IMF)への支援要請を余儀なくされています。
【出典】アルゼンチン メルバル指数(Yahoo)
昨年2017年も「新興国市場」に復帰することが検討されていましたが、見送られていました。報道されている理由は次のとおりです。市場開放の継続性がポイントのようです。
アルゼンチン当局は資本・外貨規制の撤廃を含む市場開放策に取り組んでいるが「(市場開放が)不可逆的とみなされるには長期間維持される必要がある」(MSCI)として指数採用を見送った。
2018年は今のところMSCIアルゼンチン指数が37%低下し、アルゼンチンペソの対ドル相場は33%下落、アルゼンチン国債相場も14%下落しているとのことで、アルゼンチンは知れば知るほどリスクが大きい印象です。
MSCIも先月の5月の段階では、格上げするかどうか判断が難しいという見解が示されていました。
米MSCIは15日、アルゼンチンの最近の市場の混乱が、6月に予定する年1回の分類見直しでアルゼンチンの位置付けを現在の「フロンティア」から「新興国」に格上げするかどうかの判断を難しくするとの見解を示した。
それが今回、アルゼンチンが約10年ぶりに新興国株式指数に採用されることが決定されました。当初は海外上場のアルゼンチン企業のみだそうで、MSCIも慎重に組み入れていくようです。
アルゼンチンにとっては海外の資金が流入するので追い風になります。
サウジアラビアは石油会社サウジアラムコ
サウジアラビアは、今回はじめて新興国株式指数に組み入れられます。
株価指標タダウル全株指数(TASI)の上昇率は5%を超えているそうで、好調のようです。
ムハンマド皇太子は2016年に「ビジョン2030」を発表し、資本主義経済のなかで社会的影響力をもつ国へと変革する意向も表明しています。
サウジアラビアでは女性の自動車の運転が禁止される唯一の国でしたが、2018年6月24日から解禁されました。女性の社会進出が推進されています。
サウジアラビアには、サウジアラビア国営の石油会社サウジアラムコがあります。
私は今回はじめて知ったのですが、サウジアラムコは、アメリカのアップルよりも純利益が大きいのですね。2017年の上半期の純利益はなんと3.6兆円です。
2017年1-6月純利益は338億ドル(約3兆6400億円)。アップル、JPモルガン、エクソン・モービルといった米巨大企業をも優に上回る。
グラフを見ると一目瞭然です。2017年の段階でアップルを優に超える純利益です。
すごいですね。
サウジアラビア政府は、国営石油会社サウジアラムコの新規株式公開(IPO)を検討している段階だそうです。
今のところサウジアラビア国内でのIPOを検討しているとのことで、そのうち、サウジアラムコの株式が新興株式指数に組み入れられる日がくるかもしれません。
日本から世界に投資できる
アルゼンチンやサウジアラビアの個別株を日本から購入することは、一般人には難しいところです。この両国の個別株を持っている人はほとんどいないのではないかと思います。
それが、新興国株式クラスのインデックスファンドを保有すれば、2019年5月から購入することができます。
いろいろ調べているうちに、インデックスファンドを通じた資金流入は各国を豊かにするということに気づきました。
自分のお金が両国の発展に寄与するのだと思うと、新興国株式指数への組み入れも、それはそれで楽しみにも思えてきました。
100円からアルゼンチンとサウジアラビアにも分散投資できるのですから便利な時代です。自分のお金がアルゼンチンとサウジアラビアの株式を購入すると考えると、結構マジックですね。
最初はごくごく小さな割合からの組み入れになると思います。
自分のお金を世界経済の発展に貢献させるという観点も、長期投資にとっては悪くない発想かもしれません。
アイキャッチ画像はアルゼンチンの首都ブエノスアイレスの夜景です。この景色がどのように変わっていくのかという楽しみもあるかもしれませんね。
以上、アルゼンチンとサウジアラビアがMSCI新興国株式指数に2019年5月から採用…という話題でした。
参考リンク:
2018年段階の新興株式指数の構成国と組入比率です。指数も日々変化していくのですね。
MSCIの新興株式指数には中国A株の採用も発表されています。中国本土の企業にも分散投資されることになります。
2018年の世界の成長予測です。新興国の位置づけを把握するヒントになるかもしれません。