2021/08/13

「つみたてNISAフェスティバル2018」で気になった本があります。
それは、たぱぞうさんがおすすめしていたパット・ドーシーの『千年投資の公理』という本です。
個別株を念頭においた一冊ですが、読んで「なるほど」と思う良書でした。
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著者のパット・ドーシーとは
著者のパット・ドーシーは、本の略歴にはモーニングスターの株式リサーチ部門のディレクターとあります。
今は独立しているようですね。
この本は2008年に発売された「The Little Book That Builds Wealth」の翻訳になります。
翻訳は2009年に発売されました。邦訳のタイトルがやや違和感があって、青紫の装丁と相まって怪しいオーラが漂いますが(笑)、大丈夫です。いい本です。夢中になって読めます。
「経済的な堀」を見つける
個別株の投資というと、見通しがつかなくて難しく感じるところですが、本書は、経済変動でも成長を続けている企業に投資することが必須の条件だといいます。
そのキーになるのが、ウォーレン・バフェットが展開した経済的な「堀」です。
「堀」がライバル企業からの浸食を食い止めるものです。
その「堀」がある企業を適正な価格で購入することが大事であるというのが本書のポイントです。
では、その経済的な「堀」とはどうやってみつければいいのか、本書は具体的に教えてくれます。
それはこの4つです。
- 無形資産を持っている
- コストによる優位性に優れている
- 顧客に他社製品に乗り換えることを躊躇させる
- ネットワーク経済
本書はこの4つの点について具体的に教えてくれます。これが本書の最大の売りでしょう。
アメリカの具体的な企業名をあげながら、「堀」があるかどうかを検証してくれます。「堀」こそが重要な要素であることを教えてくれます。
ちなみに、Youtubeに本書について本人がGoogleで講演した映像がアップされています。
もちろん英語ですが、興味がある分野だと必死に聞いていると意外と理解できるのが不思議ですね。著者の語りと投資のエッセンスを直接学ぶことができます。
この映像では、「堀」や企業価値がどこにあるかの解説を聞くことができるとともに、ソニーとティファニーの企業の違いはどこにあるか、トヨタについてどう思うかなど、本には書かれていない点について解説があります。
企業価値に関する解説は興味深いです。
投資の行動計画
そして、積立投資でも共通する部分があると思ったのが、投資の行動計画に関する指摘です。
投資の行動計画は主にこの4つだといいます。
- 長期にわたって競争優位性を持つ企業を探す
- その企業の株価が本質的価値より安くなるまで待ってから買う
- 企業価値が低下するか、株価が割高になるか、さらに優れた投資先が見つかるまで、銘柄を長期で保有する
- この手順を必要に応じて繰り返す
本書の中心は、最初の1にある企業を探す方法についてです。
積立投資でも参考になると思うのは、2の買うタイミングに関する考え方です。
この本では次のように書かれています。
最高の企業も、魅力のない高い株価で買えばダメな投資となる。(243頁)
毎月の積立で行うドルコスト平均法であれば、はじめての人が犯しがちなミスを回避することができます。積立投資なら少額での投資も可能ですので、大きな失敗は回避できます。
ですが、個別株になると分散と同時に、買うタイミングも重要な要素になります。
アクティブな投資を目指すほど、さまざまな知恵が必要になります。そうした知恵を教えてくれる一冊です。
浸食される「堀」
本書が指摘するように、「堀」というのは浸食されることもあります。
写真フィルムは激減し、テレビや新聞の広告料はインターネットに侵食されているのは皆さんご存じのとおりです。
今は第四次産業革命といわれています。インターネットがすべての構造を変化させようとしています。
そんななかで経済的な「堀」を見つけて適正な価格で購入するという戦略が重要なことを教えてくれます。
たぱぞうさんおすすめ
「つみたてNISAフェスティバル2018」では、たぱぞうさんがこのようなスライドで紹介されました。個別株を考えている人にはおすすめの本です。
たぱぞうさんも書評を書かれています。
最近は米国株投資が過熱気味ですね。
投資がはじめての人が読むような初心者向きの本ではありませんが、米国株投資をするなら必読だと思います。
私は個別株には投資していませんが、この本のおかげでいい投資の指針ができました。経済的な「堀」がどこに存在するのか、考えてみようと思います。