2021/08/13
図書館でトマ・ピケティ『21世紀の資本』を借りて読みました。
608頁の大著で難しいですが、富の格差の問題点を浮き彫りにする内容です。投資を考えるうえでも参考になりました。
議論の核心は「r>g」です。みなさんご存じでしょうか。
「r>g」はふつうの人にとっても理解しておいて損はない点です。ご紹介したいと思います。
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ピケティの「r>g」とは
トマ・ピケティの『21世紀の資本』でポイントになるのが、「r>g」という不等式です。
格差拡大の根本的な力だといいます。
rとgというのは、資本収益率(r)と経済成長率(g)のことです。
資本収益率(r)とは、投資などで得られる収入です。本にはこうあります。
rは資本の平均年間収益率で、利潤、配当、利子、賃料などの資本から収入を、その資本の総価値で割ったものだ。gはその経済の成長率、つまり所得や産出の年間増加率だ(28頁)
「r>g」とは、「資本収益率(r)>経済成長率(g)」ということです。つまり、資本収益率(r)が経済成長率(g)より高くなるということを示しています。
そうなるとどういうことが起こるか。資本を持つ人がよりお金持ちになるという現象が起こります。
資本収益率が経済の成長率を大幅に上回ると…、論理的にいって相続財産は産出や所得よりも急速に増える。相続財産を持つ人々は、資本から所得のごく一部を貯蓄するだけで、その資本を経済全体より急速に増やせる(29頁)
資産運用によって財産を築いている富裕層は、株や不動産を保有しているだけで多大な利益を獲得でき、相続財産が大きければ、不平等はどんどん拡大していくことになります。
つまり、資本の論理そのものが不平等を拡大させるということです。
これを歴史的事実から実証して、富を持つ者が今後もより富を獲得していくことを各国の膨大なデータをもとに指摘したのが本書です。
この問題点を指摘したうえで、課税や相続のあり方について議論を展開していくのがトマ・ピケティの『21世紀の資本』のエッセンスになります。
エキサイティングな本だと思いました。
資本が所得を生み出す
ピケティの議論がふつうの人に関係ないかというと、そうでもありません。
ピケティが述べているのは、先ほど述べたように「資本が所得を生み出す」ということでしたね。
ピケティは本のなかで次のように述べます。
すべての資本所有者が、国内、あるいはグローバル経済で組成可能な最も分散化されたポートフォリオによって、最も高い収益を得る機会を与えられるような資本市場だ。たしかに資本がレント、つまり資本の所有者が働くことなく得られ所得を生み出すという考えには驚くべきものがある(440頁)
株や不動産、債券などに投資することでもたらされる資本成長率は、経済成長よりもずっと早く資本増加をもたらします。
この本では資本収益率(r)は年間4〜5%とされています。
グローバルで分散されたポートフォリオが年間4〜5%の所得を生み出すのです。働かなくても生み出される所得です。
グローバルで分散されたポートフォリオ…どこかで聞いたことはないでしょうか。
ふつうの人もrで資産を増やせる
気づいてもらえたでしょうか。
このブログで書いているように、ふつうの人も資本収益率(r)で資産を増やすことができるのです。
グローバルで分散されたポートフォリオは、誰でも持つことができます。
ネット証券なら100円からインデックスファンドで全世界に投資ができます。「つみたてNISA」で非課税メリットが用意されていて100円から全世界に投資ができるという日本は、世界でも有数の投資環境だと思います。
たしかに資本家のほうが元本が大きいので容易に資本収益を高められますが、ふつうの人だからといって、労働所得だけに頼る必要はありません。
資本収益率(r)は年間4〜5%です。これを庶民も味方につけない手はないと思うのですが、どうでしょうかね。ふつうの人も資本収益率(r)で資産を増やせます。ピケティが教えてくれる点です。
多くの人がこの利点に気づけるといいですね。
以上、トマ・ピケティが『21世紀の資本』で語る「r>g」の意味…という話題でした。
参考リンク:
楽天証券やSBI証券なら100円からインデックスファンドが購入できます。資本収益を増やす方法です。
サッカーの本田圭祐選手も投資の重要性を語ってくれています。
インデックスファンドの魅力は「世界の箱庭」をかんたんに持てることです。便利な世の中です。投資ができるのは資本家だけではありません。