2021/08/13
今日の日経新聞で「つみたてNISA」の対象商品について報道がありました。
販売手数料や信託報酬などの観点から対象商品を絞るそうで、「初心者が安心して使える制度を目指す」とあります。
案が固まってきた段階ですので、こんなことを書くのは空気が読めていないのかもしれませんが、素朴に疑問に思うことがあります。
積立をすることで長期投資を促す制度でなぜ20年間という期間制限があるのでしょうか。そこがどうしても不思議です。
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もちろん金融庁のおかげで20年になったけど
積立NISAは、年間40万円までの投資から得られる配当や売却益を20年間非課税にする仕組みとして構想されています。
もちろん、20年に決まった経緯として金融庁の尽力があったことは知っています。
日経新聞の報道によれば、当初は投資上限が60万円で10年の非課税期間だったのです。せっかくなので当時の新聞をリンクしておきます。
財務省は少額投資非課税制度(NISA)で、年間の投資上限が60万円で10年の非課税期間がある新制度を創設する方針を固めた。
それが、金融庁のおかげで20年40万の方向で与党が認める方向で修正されて現在に至ります。
財務省は非課税期間10年で年間の上限が60万円の案を示していたが、20年の非課税期間を求める金融庁の要望を与党が認める方向になった。
当初、10年になった理由は「10年以上に及ぶ政策的な減税制度はない」といった自民党税制調査会の慎重論でした。
その経緯からすれば、積立NISAが20年になって本当によかった…そう書いておくのがいいのかもしれません。
長期投資でなぜ期間制限?
ですが、やっぱり不思議に思うのは、長期の積立を推奨する制度なのになぜ期間制限があるのか、という点です。
日本証券業協会の稲野和利会長は、現行のNISAについて、「本来は投資家が行う売買のタイミングが、純粋な投資判断以外の他律的な要素で決まってしまうことは、一種の不条理である」と書かれています。
現行のNISAを恒久化できない理由としては、「毎年の非課税投資額の累計が無限大になり、「金持ち優遇」批判を招きかねない」という説明を日経新聞のコラムで読んだことがありますが、そういう理由ならイギリスのように「生涯拠出上限」を導入すれば問題は解消できそうです。
このあたりは以前の投稿で一度書いたのですが、やっぱり素朴に疑問に思ってしまいます。なぜ期間の制限があるのだろう、と。
非課税保有期間の恒久化を期待したい
投資金額としては積立NISAが想定している40万円×20年で800万円の枠で十分です。
金額の上限は設定してもいいので、非課税保有期間の恒久化は難しいのでしょうか?
「本来は投資家が行う売買のタイミングが、純粋な投資判断以外の他律的な要素で決まってしまうことは、一種の不条理」です。せっかく積立したものを制度のために処分等を考えなければいけないのはやっぱり不思議に思うのです。
積立NISAについては非課税保有期間の恒久化というアイディアはないのかな…イギリスでできるのなら日本でも知恵をだせばいいのに…なんて思います。
…「おい、欲張りだよ!」という声も聞こえてきそうですが、どうしても思ってしまう個人的な素朴な疑問です。
金融庁の方には、もう一歩頑張っていただきたいというのが個人的な要望になります。今の金融庁ならできそうな気がしますが…難しいですかね?
以上、なぜ「つみたてNISA」は非課税保有期間の恒久化が難しいのだろう?…という話題でした。
コメント
こんばんは。私もNISAで投信を買っているのですが、現行NISA口座の資産を積立NISA口座にそのまま移管するのはできないような気がしてましたけど、必ず売却までしなければいけないんですか?
現行NISAの資産は移管日で時価評価して、特定又は一般口座に移すことが可能かと思っていました。
非課税期間恒久化は政府の色々な思惑もあり、難しいのかもしれませんけど、長期投資家を増やしたいという思いは強く出ているような気がします。
by silvercatn 2017年4月2日 10:36 PM
silvercatnさん
コメントありがとうございます。
なるほど、現行NISAの資産は特定口座の移管が可能なのですね。
大和証券のサイトで確認できました。
http://www.daiwa.jp/nisa/faq/
はじめて知りました!
ということは、売りたくなければ特定口座に移せばいい、というのが積立NISAに移行するひとつの解決法になりますね。
勉強になりました。ありがとうございます。
おかげで道筋のひとつが見えた気がします。今度ブログで紹介してみたいと思います。
「長期投資家を増やしたいという思い」、強く出ていますね。
一方、個人の「お金の知識」は、人それぞれでレベルが相当違います。
現行NISAの移管の話、知っている人はごく一握りだと思います。笑
金融庁の真摯な姿勢には、陰ながら応援したいと思う今日この頃です。
なるたく
by loloinvestors 2017年4月4日 12:02 AM
なるたくさん
すみません。講釈を垂れるつもりはなかったのですが、お役に立てたのであればよかったです。
金融庁の印象は同感です。ファンドアワードのような民間の一イベントにも、長官の名前でコメントされたのが記憶に新しいですが、姿勢の変化というか本気度が表れていると思いました。今後の政策に期待したいですね。
by silvercatn 2017年4月4日 2:59 PM
silvercatnさん
ありがとうございます。
ブログをやっていてのメリットのひとつは、自分が知らないことを吸収できることです。
おかげでひとつレベルアップできました。
金融庁の活動に期待したいですね。少しずつ世の中が変わっていきそうでおもしろいです。
積立NISAの動きからも目が離せませんね。
なるたく
by loloinvestors 2017年4月8日 8:53 AM