2021/08/13
企業型確定拠出年金の法改正についての山崎俊輔さんのコラムがおもしろかったのでご紹介します。
選択肢は多ければ多いほどよい、という考えは間違っているというお話です。
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法改正で企業型確定拠出年金の運用商品数が限定される
今回の法改正で、企業型確定拠出年金において運用商品の提供数の上限が設定されます。法律が選べる商品の数を絞るように促すということです。
記事では、次のように整理されています。
運用商品の本数については「最低3本以上、うち1本以上は元本確保型商品」という規制であったものが、「最低3本以上(リスクリターン特性の異なるもの)、最大でX本」というようなルールに変わります(上限本数は別途、政省令で定める)。
選べる運用商品の数を絞るようにルールが変わります。
法改正の詳細については、りそな銀行の解説がわかりやすいです。リンク先の12頁に上限設定の説明があります。
なぜこうした規制がされるのか
なぜ商品数を限定する規制がなされるのでしょうか。
山崎さんによれば、これは、シーナ・アイエンガーの「選択の科学」に代表される行動ファイナンスの考え方に基づくというのです。
行動ファイナンスのおもしろさを垣間見た瞬間でした。
選択肢は限定されたほうがよい
シーナ・アイエンガーは「ジャムの実験」で有名な方です。
彼女の実験では、24種類のジャムを売り場に並べた時と6種類のジャムを並べた場合を比較すると、前者の売り上げは10分の1しかなかったといいます。
「あれもこれも」ではなく、選択肢を整理することで、じつは売る方も買う方も理想的なバランスが得られるということです。言い換えれば、選択肢が多いと、満足度や充足度、幸福度は低くなってしまいます。
TEDの映像がありました。
そこでは、アメリカの401kプランでは、やみくもに選択肢の数を増やすことは逆効果を生み、利益になるどころかかえって害になるような意思決定を導きかねないことが示されています。
興味がある人は映像をご覧ください。
今回の法改正は奥が深い
今回のコラムで学んだことは、人は選択肢を制限したほうが選択できるということです。
今回の確定拠出年金の法改正は、行動ファイナンスの観点も反映されていることを知りました。
さまざまな方面で応用できる考え方です。