2021/08/13
書店でも平積みになっている本を購入してみました。
モーガン・ハウセル著『サイコロジー・オブ・マネー 一生お金に困らない「富」のマインドセット』です。
話題になっている本書ですが、お金に困らないための考え方がシンプルに示されています。
学びの多い一冊でした。
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著者のモーガン・ハウセルさんとは
著者のモーガン・ハウセル(Morgan Housel)さんは、ベンチャーキャピタルのパートナーの方です。
2020年に英語版が出版された本書ですが、世界中で翻訳されて多くの人に読まれているようです。
英語版のAmazonレビューは47000件を超えており、多くの人に高評価を得ているベストセラーになっています。
著者の略歴は下記の通りです。
ベンチャーキャピタル「コラボレーティブ・ファンド社」のパートナー。投資アドバイスメディア「モトリーフール」、ウォール・ストリート・ジャーナル紙の元コラムニスト。米国ビジネス編集者・ライター協会Best in Business賞を2度受賞、ニューヨーク・タイムズ紙Sidney賞受賞。妻、2人の子どもとシアトルに在住。
本書は、お金にまつわる「人間心理」に焦点をあてています。
本書は、20のパートからなっていますが、経験則に裏づけされた安定した内容になっています。
ここでは印象に残った部分を3つご紹介します。
複利の力
1つめは、複利の力です。
本書では、ウォーレン・バフェットを例にして、複利の力を発揮させる重要性を次のようにシンプルにまとめています。
バフェットの成功を取り上げた約2000冊の書物のなかに、「この人物は4分の3世紀にわたって一貫して投資を続けてきた」というタイトルのものはない。だが、それこそがバフェットの成功の秘密を解く鍵なのだ。にもかかわらず、誰もそのことに目を向けようとしない。複利のもたらす効果を直感的に理解するのはとてつもなく難しい。そのため、多くの人がそれを見逃しているのである。……だが、投資に関する最強かつ最重要のアドバイスが書かれた本のタイトルは、『黙ってじっと待て」』であるべきだ。……良い投資とは、そこそこのリターンを繰り返し何度も手に入れ続けることである。そのとき、複利が最大の力を発揮する。(84頁)
良い投資とは、そこそこのリターンを繰り返し何度も手に入れ続けることだと指摘しています。
バフェットの純資産の95%は65歳以降に得られたものであり、75年以上一貫して投資を続けてきた賜物であるといいます。
長い期間、投資を続けることが最終的に大きな利益を生むことに気づかせてくれます。
柔軟性
2つめは、柔軟性です。
私は、さらっと記述されている柔軟性に関する指摘が、最も刺激的に感じました。
柔軟性は確実な強みになる。知性の競争が激化し、従来の技能の多くがテクノロジーに取って代わられた世界では、競争で優位に立てるのは、コミュニケーション力や共感力など、数値で表しにくいソフトスキルを持つ人材だ。なかでも重要なのが、柔軟性を持つことなのだ。そして、貯金がもたらす余裕があれば、柔軟性は高まる。
……柔軟性こそ、知性だけでは勝てない現代における最強の武器になる。つまり、時間や人生をコントロールできることは、世界でもっとも価値のある「通貨」になりつつある。だからこそ、私たちは目的がなくてもお金を貯められるし、貯めるべきなのだ。(162頁)
時代の変化が強いときには、コミュニケーション力や共感力などソフトスキルを高めることが重要だと述べています。
また、人生において柔軟性を保つためには、お金が必要です。
いざというときにお金がないと、柔軟な対応が難しくなるからです。お金を貯める余裕があることが、柔軟性を生むことになります。
柔軟性を身につけることが、これからの社会で生き抜くための重要な要素になることを気づかせてくれます。
確率の高い戦略を選ぶ
3つめは、確率の高い戦略を選ぶことです。
著者は、低コストのインデックスファンドにドルコスト平均法で投資することを推奨します。
私の投資に対する哲学を一言で表すなら、「投資では、自分の目標を達成できる確率がもっとも高い戦略を選ぶべきだ」となる。そして私は、低コストのインデックスファンドにドルコスト平均法で投資することが、ほとんどの人にとって長期的に成功する確率がもっとも高い投資法だと考えている。
……インデックスファンドに投資を続ければ、個別株によって生じるリスクを負うことなく、目標を達成できる。(314頁)
本書は、インデックスファンドの積立投資を推奨しています。
インデックスファンドの積立投資が、長期的に成功する確率がもっとも高い投資法だと述べています。
私もインデックスファンドの投資を続けて10年近くなりますが、長い期間にわたって確率が高い投資を続けるための賢い方法だという指摘は、その通りだと思っています。
シンプルですが、続ければ資産形成の大きな力になります。
長期的に有用なノウハウ
本書は、お金にまつわる「人間心理」に焦点をあてていますので、長期的に有用なノウハウで構成されています。
最後に書かれている著者のメッセージも響きます。
私の投資戦略が頼りにしているのは、適切なセクターを選ぶことでも、次の不況のタイミングを計ることでもない。私が頼りにしているのは、高い貯蓄率、忍耐力、「世界経済は今後数十年にわたって成長を続ける」という楽観主義である。
投資をはじめてみると、高い貯蓄率、忍耐力、楽観主義を維持するのが、そんなにかんたんではないことに気づきます。
ですが、長く続けるのがかんたんではないことを学ぶのが、本書の言う「人間心理」を学ぶということのような気がしました。
「人間心理」を学ぶことは、自分自身を学ぶことになります。
本書を読んで、シンプルに自分自身の心理を確認することができました。
シンプルな投資方針の重要性を再確認させてくれるとともに、自分自身を見つめ直すいいきっかけになる一冊になっています。