2021/08/13

田村正之さんの新刊を読みました。
今回は「公的年金」にスポットをあてた「人生100年時代の年金戦略」を考える1冊です。
公的年金は、自分自身の「選択」によって大きく変わってくるので、老後の生活にとって公的年金の活用が重要なカギになります。
この本で初めて知ることもたくさんあり、学びの多い1冊になっています。
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著者の田村正之さんとは
田村正之さんは日本経済新聞社編集委員兼紙面解説委員をされています。
証券アナリスト(CMA)、上級ファイナンシャルプランナー(CFP認定者)、1級ファイナンシャルプランニング技能士の資格を持ち、立正大学経済学部で非常勤講師もされています。著書もたくさんあり、田村優之の筆名で小説も書かれる多才な方です。
日経新聞の署名記事はいつも勉強になります。
最近の一冊は、投資初心者を中級者へと導く一冊を出版されています。私はこちらも勉強になりました。
本書の特徴
本書の特徴は、次の3つにまとめることができます。
第1は、公的年金の仕組みが丁寧に解説されているところです。
年金制度については、誤解をしている人も多いところです。私も厚生年金制度の改正の内容など、詳しく理解していませんでした。
共働きの世帯も増えていると思いますが、正直、年収などの諸条件がどういう場合であれば公的年金制度が利用できるのか、どういうメリットがあるのかは、理解していない人が多いと思います。パートで働く方は、制度改正で厚生年金を利用しやすくなっています。
また、かなり細かい情報まで網羅されています。たとえば、年金受給者の方は、確定申告で手取りを増やせるケースもあるといいます。このあたりも私ははじめてクリアに理解できました。
この本を読むことで、公的年金制度の基本をよく理解することができます。
第2は、年金の繰り下げ受給のメリットが丁寧に解説されているところです。
リタイアが近づくにつれ、少しずつ年金の受給時期が気になるところです。
年金は「繰り上げ」や「繰り下げ」をすると、金額が大きく変わってきます。その損得を含めて詳しく解説してあります。
私が年金をもらう頃に制度がどうなっているか不透明な部分もありますが、この本を読んで、年金は「繰り下げ受給」をして、70歳以降の「終身保険」として利用しようという思いが強くなりました。
第3は、自分の年金戦略がはっきり理解できる記述がなされているところです。
特に、フリーランスなどの自営業者の方にメリットが多い記述がたくさんあると思いました。
フリーランスの方は、自分の年金を増やす仕組みを理解したうえで、戦略的に対応することで「将来の安心」が生まれます。
たとえば、「1円も払わなくても年金はもらえる」という項目があります(190頁以下)。1円も払わなくても年金がもらえる方法があるのです。ですが、免除の仕組みを理解できていない人も多いと思います。
フリーランスを選択する方も少しずつ増えてきています。そういう方にとって、本書が自分の老後を考える一歩になります。
カギは繰り下げ受給と厚生年金
この本を読んで、年金受給の「繰り下げ」の仕組みとパートの年金の仕組みが勉強になりました。
どういう違いがあるか、知らない人が多いと思います。多くの人が公的年金のお世話になると思いますので、読んでおいて損はないと思います。
とくに、こういう方のニーズに合っている本だと思いました。
- パートで働いている人
- 年金受給の「繰り下げ」をするか検討したい人
- フリーランスなどの自営業者の人
長生きの最大の支えは、終身の公的年金をフル活用することです。それこそ、安心老後の近道だというのが田村さんのメッセージです。
カギは、繰り下げ受給と厚生年金の利用です。誤解が多い年金制度ですが、本書を読めば制度を理解して、フル活用する戦略を描くことができます。
「年金は破綻するから払わなくていい」なんて思っている方もいるかもしれませんが、この本を読めば大きな勘違いであることに気づくと思います。
田村さんの本を読むといつも「オタク」になれたと思うのですが、今回もそうでした。「公的年金オタク」になれた気分になれます。
日本は他国と比較しても、公的年金制度が充実しています。理解すれば、老後の不安を小さくすることができます。
誰もが知っておきたい「公的年金」のノウハウを理解するなら、この1冊です。