2021/08/13
例年、2月16日から3月15日までが確定申告のシーズンです。
去年、出産されたご家庭もあると思います。病気をして医療費が結構かかった…という家庭も医療費控除の対象になります。
今日の日経新聞にあった田村正之さんの署名記事は、確定申告のルール改正のポイントなどがわかりやすくまとまっています。確定申告をする人は読んでおいて損はない記事です。
わが家では長期入院に出産費用と、医療費がかなりかかっています。そこで、出産費用に関する医療費控除について整理してみたいと思います。
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医療費控除は10万円超が対象
医療費控除というのは、「自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族のために医療費を支払った場合には、一定の金額の所得控除を受けることができる」という仕組みのことです。
対象期間は前の年の1年間(1月1日~12月31日まで)です。
家族全員の医療費を合算して、その合計が10万円を超えた場合が対象になります。なお、所得が200万円未満の場合は所得の5%を超えた部分が対象です。
医療費控除額の最高は200万円になります。
所得によって還付金が変わってきますが、所得が多いほど還付金は多くなります。
出産費用の対象
出産費用ではじめて医療費控除を考えたという人も多いと思います。
出産費用として対象になるのは次のようなものです。国税庁の見解が正確なので引用したいと思います。
(1) 妊娠と診断されてからの定期検診や検査などの費用、また、通院費用は医療費控除の対象になります。
(注) 通院費用については領収書のないものが多いのですが、家計簿などに記録するなどして実際にかかった費用について明確に説明できるようにしておいてください。
(2) 出産で入院する際に、電車、バスなどの通常の交通手段によることが困難なため、タクシーを利用した場合、そのタクシー代は医療費控除の対象となります。
(注) 実家で出産するために実家に帰省する交通費は医療費控除の対象にはなりません。
(3) 入院に際し、寝巻きや洗面具など身の回り品を購入した費用は医療費控除の対象になりません。
(4) 病院に対して支払う入院中の食事代は、入院費用の一部として支払われるものですので、一般的には医療費控除の対象になります。しかし、他から出前を取ったり外食したりしたものは、控除の対象にはなりません。
ポイントになりそうなところは以下の事項です。
- 定期検診や検査などの費用が対象になる。
- 通院費用も対象になるので、交通費などをメモしておく。
- タクシー代も医療費控除の対象になる。
- 病院に対して支払う入院中の食事代も医療費控除の対象になる。
- 不妊治療、人工授精などの費用も医療費控除の対象になる。
あらかじめ知っておけば領収書をまとめておくことができます。
医療費控除から差し引く費用
出産に際して出産育児一時金などを受け取ることがあります。こうした入院費を補填するお金は差し引く必要があります。
健康保険組合や共済組合などから出産育児一時金や家族出産育児一時金又は、出産費や配偶者出産費などが支給されますので、その金額は医療費控除の額を計算する際に医療費から差し引かなければなりません。
差し引く費用の代表例は以下のものです。
- 生命保険契約などで支給される入院費給付金
- 健康保険などで支給される高額療養費・家族療養費・出産育児一時金
こういった費用を差し引いて、10万円を超えれば控除の対象になります。
傷病手当金、出産手当金は差し引く必要なし
今回の新聞記事で勉強になったのは、傷病手当金や出産手当金の扱いです。記事には次のように書かれています。
ちなみに公的健康保険の傷病手当金、出産手当金などは医療費から差し引く必要はない。
国税庁のホームページにもつぎのような記述があります。
出産の前後の一定期間勤務できないことに基因して、健康保険法等の規定により給付される出産手当金は、医療費を補填する性格のものではありませんので、医療費控除の計算上差し引く必要はありません。
働いている女性のなかには、勤務できないことを理由に出産手当金を受け取った方も多いと思います。出産手当金は、医療費を補填する性格のものではないので、医療費から差し引く必要がありません。傷病手当金も同様です。
私は今回はじめて知りました。きちんと把握しておきたいところですね。
誤解が多い計算方法
そして、新聞記事には誤解が多い場合として次のようなケースが紹介されています。
それは、医療費控除の対象となる費用が2つあるような場合です。
計算方法には誤解も多い。例えば(1)医療費が20万円(2)生命保険会社からの医療保険金が30万円(3)歯科治療の費用が15万円――という場合、(1)~(3)をすべて通算すれば5万円なので控除対象外にみえる。
…しかし「保険金はその目的となった医療費とだけ通算する」(福田氏)ので、(1)(2)を通算後もまだ残る保険金10万円は(3)に影響を与えない。(3)で10万円を超える5万円分は医療費控除の対象になる。ちなみに公的健康保険の傷病手当金、出産手当金などは医療費から差し引く必要はない。
なかなか難しいですが、「保険金はその目的となった医療費とだけ通算する」というのがポイントです。
これは、出産にかぎらず医療費控除で広く使える知識です。
たとえば、内科での入院と歯科治療があった場合、保険金はその目的となった医療費とだけ通算すればいいということです。頻繁にあるケースではないかもしれませんが、知っておけば損はないところです。
この制度を把握したうえで、1年のうちに治療をまとめて受けて、医療費控除の対象を増やすということもできるかもしれません。
たとえば、高額の歯科治療の必要がある人は、妻が出産するときに1年でまとめて治療してしまう…といった使い方です。10万を超えるようにすれば、医療費控除の対象になります。
どうやって確定申告をする?
確定申告をするためには、医療費控除についてまとめておく必要があります。
申告の仕方については、国税庁に「医療費集計フォーム」があります。
エクセルでまとめることができて便利です。これに入力していけばいいだけですね。
我が家にも領収書が大量にあります。家族の医療費も含めて入力していきましょう。
どのご家庭も医療費が10万円を超えていれば医療費控除の対象になります。家族で合算できますので、1年分の領収書をまとめてみれば、意外と医療費控除の対象になるかもしれませんね。
医療費控除を申告しよう
ということで、出産費用を中心に、医療費控除の仕組みについてまとめてみました。
今回、さまざまなホームページをみてみましたが、医療費控除については、わかりやすくまとまっているサイトがない印象でした。
医療費控除については、一度理解しておけば、生涯使える知識になると思います。我が家も今年、医療費控除を申告しようと思います。
以上、出産で確定申告!出産費用を医療費控除の対象にしよう…という話題でした。
参考リンク:
長期入院の場合でも高額療養費制度があります。この仕組みを知っておけば、いざというときも余計な心配をしなくてすみます。
民間の医療保険が必要かどうかは、よく考えてみるといいと思います。今回の入院についても高額療養費制度などの適用があり、問題ありませんでした。医療保険のお金を預貯金にまわせば、それで十分に対応できます。