2021/08/13
なぜ積立投資をしたほうがいいのか、これを論理的に描く。
朝倉智也さんの新刊は、初めての人を積立投資へとやさしく導く入門書になっています。
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著者の朝倉智也さんとは
著者の朝倉智也さんは、モーニングスターの代表取締役社長です。
モーニングスターは、中立的・客観的な立場から、投資情報の提供などを行ってくれる評価機関です。個人投資家の資産形成を支援する取り組みをしています。
『一生モノのファイナンス入門―――あなたの市場価値を高める必修知識』など、著書も精力的に出版されています。
本書の特徴
この本の特徴は次のような点にあると思います。
積立投資の必要性を丁寧に教えてくれる
第1の特徴は、積立投資の必要性を丁寧に教えてくれる内容になっているということです。
積立投資は、「勝つか負けるか」の世界とはまったく別の「投資の王道」であるというところから説明がはじまります。
「怖い」、「難しそう」、「面倒くさい」といった投資に対するイメージは誤りであり、なぜ積立投資をしたほうがいいのかということをかなりの頁を使って親切丁寧に説明してくれます。
何も知らない人でも、ひとつひとつ納得しながら読み進めることができます。
投資の王道を指南する
第2の特徴は、投資の王道を指南してくれることです。
本書の提案は、「一定額の積立投資をする」、「世界の資産に分散投資をする」、「5~10年以上の長期運用をする」という3点です。まさに投資の王道がここにあります。
時間を味方につけること、長期でコツコツ資産を積み上げること、日々のマーケットの変動に心が乱されない運用を心がけることが重要であることを、やさしく語りかけてくれます。
積立投資の方法を具体的に提案
第3の特徴は、投資信託の選び方やポートフォリオの提案が具体的だということです。
たとえば、投資信託の選び方は、モーニングスターの「ファンド検索」を使った方法が紹介されています。
検索の条件も教えてくれるので、本書で提案されるインデックスファンドは、ニッセイアセットマネジメントの<購入・換金手数料なし>シリーズや、DIAMのたわらノーロードシリーズなど、現時点における最低コストのインデックスファンドになっています。
本書の方法に従えば、間違いなく最低コストのインデックスファンドにたどりつくことができるでしょう。
最も特徴があるのは、5章にあるポートフォリオの提案内容です。
本書の提案は、国内株式、先進国株式、新興国株式、先進国債券、新興国債券の5つの資産クラスで構成するというものです。
つまり、日本債券クラスを投資対象には組み入れず、新興国債券クラスを組み入れる提案になっています。
これは、これまでよくあるポートフォリオの提案とはひと味違ったものです。既に積立投資をしている人にとっても興味深いところだと思います。
積立投資は「ものぐさ」?
辞書によれば、ものぐさとは、「めんどうがること。また、その性質・人や、そのさま。無精。」とあります。
積立投資が「ものぐさ投資術」といわれると、やるべきことをやらずにサボっているという”ネガティブ”な印象を抱きます。
最初にタイトルを読んだとき、正直にいうとあまりいい印象ではありませんでした。他の投資法と比べれば、たしかにサボっているのかもしれませんが。笑
本書を読み進めると、「投資は『ものぐさ』であるほど成功すると思っていますが、『ものぐさ』であることと『他人に丸投げして任せてしまう』ことは意味が異なります」と書いてあります。そして、金融機関のラップ口座の利用に警鐘を鳴らします。
「ものぐさ」を”ネガティブ”なイメージではなく、”ポジティブ”なイメージで理解するというのが、おそらく本書の基本スタンスです。
本書を読み進めて、ポジティブな「ものぐさ」をイメージできれば、タイトルにも違和感がなくなります。
積立投資の王道をいく入門書
内容は最新の動向をふまえた積立投資の王道をいく入門書です。
なぜ積立投資をしたほうがいいのかを、論理的かつ明快に描きます。
積立投資を論理的に理解したい、そんな方にぴったりの一冊です。