2021/08/13
積立投資をはじめようと思ったときに、迷うのが資産配分です。
いろいろ資産配分をシミュレーションしてみて、自分で決めた資産配分のパフォーマンスを確認できれば便利です。
相互リンクをしている「バリュートラスト|価値を生む・未来を託す・投資を歩く」のアウターガイさんが便利なツールを開発してくれたので、その使い方を紹介したいと思います。
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ポートフォリオ・アナライザーを使う
アセットアロケーションは、通常、運用パフォーマンス全体の8割から9割を決定づけるとされています。
アセットアロケーションを決めるには、たとえば、株式の期待リターンやリスク、株式と債券とのリターンの相関係数などを推計しなければなりません。
投資がはじめての人に「自分で計算してね。」といってもそれは無理な話です。私にも無理です。
そんなところに、アウターガイさんが便利なツールを開発してくれました。
それが「ポートフォリオ・アナライザー」です。リンク先から無料で使うことができます。
このツールで、資産配分を入力すると、過去の成績を参考に自分の運用成績をイメージすることができます。
試しに使ってみますので、使い方をイメージしてもらえればと思います。
リスクとリターンがイメージできる
ではやってみましょう。
リンク先に飛んで、投資対象期間と自分が決めた資産配分を入力すればいいだけです。
では、試しに私の資産配分を入力します。
私は2012年5月から積立を開始したので、2012年5月~2017年1月と入力し、自分の資産配分を入力します。日本株式10%、先進国株式30%、新興国株式20%、先進国債券10%、日本債券30%です。
ベンチマークというのは後で説明しますが、ベンチマークを指定すると、代表的なバランス型投信の資産配分を比較対象にすることができます。
「計算する」をクリックすると、結果がでます。
入力作業はこれだけです。 かんたんですね。これでリスクとリターンがイメージできます。
はじめての人に見てほしい項目
すごく多機能なツールなので、いくつもの分析結果がでます。
これから投資をはじめる方は、まずは4つの点を確認することからはじめるといいと思います。
リスクとリターン
まずリスクとリターンです。
こんな感じでその期間のリスクとリターンがでてきます。
この期間は先進国株式のパフォーマンスがよく、新興国株式がさえなかった時期なのですね。
各資産クラスの様子を知ることができます。
リターンの推移
リターンの推移です。
2012年以降は世紀の大暴落もありませんでしたので、基本的には順調に推移してきたことがわかります。
各アセットクラスの相関
各アセットクラスの相関もこれでわかります。
+1.00だとまったく同じ動きをするということですね。マイナスになれば逆の値動きをするということになります。
値動きが違う資産クラスを組み入れれば、理論上はリスクを下げることができます。
多機能グラフ
自分の資産配分のリスクとリターンをグラフでイメージできます。
資産配分を決めるときはこのグラフが一番参考になります。
理論上は、リスクを低くしてリターンを高める資産配分にすればいいわけです。ですので、黄色の点の左端のほうにくれば有効フロンティアとよばれる「最適解」ということになります。
私の資産配分は、全然「最適解」じゃないですが、まあいいでしょう。
最適解にするのは、じつはかんたんではありません。このツールで自分の考える数値を入力して、いろいろ試してみるといいと思います。
このツールのすごいところ
このツールのすごいところは、バランス型投信の資産配分とパフォーマンスを比較する機能がついているところです。
自分が考えた「資産配分の意味」を考えさせてくれます。どういうことか、説明しましょう。
8資産均等の場合
たとえば、「iFree8資産バランス」などで採用される「8資産均等」を比較対象のベンチマークとして選択するとこうなります。
青が「8資産均等」です。赤が私の資産配分です。
……。
えーと、自分が考えた「資産配分の意味」がわかるというのは、こういうことです。
完全にパフォーマンスで負けています。
世界経済インデックスファンドの場合
気を取り直して「世界経済インデックスファンド」でやってみましょう。
…お、おお!
ほぼ同等のパフォーマンスです。
私の場合、新興国株式の伸びしろに期待して新興国株式を多めにした資産配分です。
世界経済インデックスファンドも新興国株式と新興国債券の割合の大きいバランス型投信です。
新興国株式があまりさえなかった期間ですから、8資産均等のベンチマークに負けている…という理解もできるかと思います。むしろ、新興国株式を安く仕込めたのだから、これからパフォーマンスが上がったときにはすごいのでは…なんていう妄想を楽しむこともできます。
このツール、このように「バランス型投信1本でやっておけばよかったじゃん!」という思いにさせかねないある意味で危険なツールです。笑
すでに何年か積立投資をやってきた人は「無力感」におそわれる可能性がありますので、気をつけましょう。
これからはじめる方は、いろいろ試してみて、「よし、これでいこう。」という目安にするのもひとつですし、「なんだ、いろいろやってもバランス型投信のパフォーマンスを超えるのはかんたんじゃないから、バランス型投信1本でいいや。」という結論を得るのも、ひとつかもしれません。
かつては、低コストのインデックスファンドを組み合わせることで、信託報酬を低く抑えるというメリットがありましたが、低コストのバランス型投信も登場して投資環境はよくなっています。
このツールを使うと、低コストのバランス型投信1本で運用することでも、下手な資産配分を構成するよりも十分なパフォーマンスが期待できることも示唆しているといえるかもしれません。
なお、念のために書いておきますが、過去の成績は未来を保証するものではありません。また、各資産クラスのパフォーマンスも時代によって変化するものです。過去の成績がいいからといって、未来もいいとは限らないところが投資のある意味の「醍醐味」であり「不確実性」です。
こういったツールを使って、自分のなかで「おさまりのいい資産配分」を考えてみる、というアプローチがいいのではないかと思います。
世界分散投資をしよう
複数の投資対象に分散することで、リスクを低減しながらリターンを得ることができます。
それを実現するには、値動きが反対に動く資産クラスを組み入れる必要があります。国内の株式だけではなく、外国債券や外国株式などを組み合わせることで、効果的にリスクを減らしてリターンを確保することが可能になります。
資産配分に悩むのも最初の醍醐味です。いろいろ試してみるといいと思います。
アウターガイさんは素晴らしいツールを開発してくれました。今後もアップデートして素晴らしいツールに発展していくことを期待しています。
以上、自分で決めた資産配分のパフォーマンスを確認する方法…という話題でした。
参考リンク:
ツールを使ったスタンダードな資産配分の決め方については、以前の投稿でまとめています。イーノ・ジュンイチさんの運営する「ファンドの海」にあるアセットアロケーション分析も有用です。こちらもわかりやすく資産配分をイメージできます。
コメント
アセットアロケーションを検討中の高齢者です。金融試算が約1億円で、現状(不動産の売却金2500万あり)と6年後(個人年金と厚生年金の受け取りで毎年200万程キャシュが積み上がる)のシミュレーションをしています。
個別株と投信、債権の内訳で、内外株、内外債権、内外REITの試算はできますが、外貨預金(38%)と一時払い終身保険と個人年金の評価額(22%)のウエートが大きくて、そのまま、預金とその他の試算に分類しても、現状と将来のリスク・リターンは正しく反映しないだろうと思っています。外貨預金と高利回りの生命保険の扱いについて、アドバイスを頂けたら幸いです。
by akio 2018年6月15日 7:31 PM
aikoさん
コメントありがとうございます。
外貨預金と高利回りの生命保険の扱いとのことで、私ならということでお答えします。
外貨預金と生命保険についてはアセットアロケーションからは外して別枠で考えるといいかと思います。どちらもリスクとリターンの考え方になじまないことと、安全資産ともいいきれないところです。
外貨預金も個人年金がかなりの割合ですね。それぞれ保有を続けるかどうかを判断されたうえで、ホールドされるなら別枠に考えてアセットアロケーションを考えてはどうでしょうか。
投資がはじめてでしたら、安全資産を一定割合を保持しながら、一括投資ではなく、一定額ずつ毎月リスク資産に振り分けるといいかと思います。
https://loloinvestors.com/2018/01/20/lump-sum-investment/
参考になれば幸いです。
なるたく
by loloinvestors 2018年6月16日 6:49 PM