2021/08/13
今日の日経新聞によると、配偶者控除を廃止して「夫婦控除」を創設することを9月から検討するそうです。
現時点でわかる、配偶者控除の廃止の議論と「夫婦控除」の仕組みについて整理してみました。
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現在の配偶者控除とは
現在の配偶者控除は、配偶者の年間の合計所得金額が38万円以下であれば、その世帯の税金が軽減される仕組みです。
パートなどの給与のみの場合は、給与収入が103万円以下であれば配偶者控除の対象になります。
給与収入が103万円を超えても、段階的に控除を受けられるのが「配偶者特別控除」です。1年間の収入が103万以上141万円未満がその対象になります。
今の仕組みは、働きすぎてしまうと配偶者控除が受けられなくなるので、働き方を控えめに調整する女性も多いというのが実態です。
配偶者控除を廃止して「夫婦控除」へ?
日経新聞によれば、方向性としては配偶者控除を廃止して、夫婦の所得から一定額を控除する仕組みを考えているようです。
政府税調は配偶者控除を含めた所得税改革の具体的な方向性を年内にもだす見通しだ。現在の配偶者控除は妻の年収が103万円を超えると適用されなくなる。配偶者控除は廃止し、夫婦であれば誰でも控除が受けられる「夫婦控除」に転換し、女性の社会進出を促す方向で検討する。
政府税制調査会は、廃止を含め複数案を議論してきたそうですが、現時点で結論は出ていないようです。
とはいえ、今後は共働き世帯、子育て世帯を後押しする方向で議論が進んでいくことが予想されます。
新たな「夫婦控除」とは
新たに検討されている「夫婦控除」とはどういう仕組みなのでしょうか。
日経新聞の記事には、「夫婦であれば誰でも控除が受けられる」としかありませんが、今のところ、配偶者の年収を問わずに一定額を世帯主の収入から差し引く案が有力なようです。
控除の見直し議論では、配偶者の年収を問わずに一定額を世帯主の収入から差し引く「夫婦控除」に変える案が有力視されている。14年11月に政府税調がまとめた論点整理では、配偶者控除を廃止する案や所得制限を設けて残す案も示されていた。
この通りだとすると、夫婦であれば無条件で税制上のインセンティブを与えるということになります。
今後の議論次第に
かなり前から話題になっている配偶者控除の廃止ですが、これまでは見送りになってきた経緯があります。女性の社会進出を促して男女平等の社会を推進するという意味では、早く進めたほうがいい改革だと思います。
ポイントは、新たに予定されている「夫婦控除」でしょうか。すべての夫婦を対象にする制度が原案のようですが、共働き夫婦のみを対象にする制度設計も考えられます。
また、事実婚やLGBTの取り扱いはどうするのでしょうか。今後、さまざまな点について議論を詰めていく必要がありそうです。
むしろ、少子化対策で考えるなら「夫婦控除」ということではなく、「子育て世帯」に所得控除をしていく方法も考えられます。
「子育て世帯」への所得控除なら、一人親家庭や事実婚の家庭も対象になりますし、制度趣旨もはっきりします。これもひとつの考え方です。
多くの人の利害に関係する税制改革です。さまざまな意見がでて、議論が深まるといいと思います。