2021/08/13
——「心の罠」で、自分で気がつかないうちに損をしていませんか——
この本は、いわゆる「投資本」ではありません。
「行動経済学」を通じて、お金の使い方の「クセ」に気づくことができるという本です。
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著者の大江英樹さんとは
著者の大江英樹さんは、大手証券会社で25年に亘り、個人の資産運用業務に従事した後、確定拠出年金の投資教育等の業務に関わってきた方です。
現在は経済コラムニストとして、書籍の執筆、各地でのFP向け研修や投資家向けの講演などで活躍されています。
最近の著書である「はじめての確定拠出年金投資」、「マイナス金利でも、お金はちゃんと増やせます。」を読んで、私はファンになりました。
2016年のインデックス投資ナイトでは、「こんばんは。カーネル・サンダースです。」という掴みの挨拶で、会場のハートを鷲づかみして盛り上げてくれました。
難しいことでもやさしく導いてくれる「お金の専門家」として、多方面で活躍されています。
本書の特徴
タイトルを読むと「投資本かな?」と思う人がいるかもしれません。私も最初そう思いましたが、本書はいわゆる「投資本」ではありません。
一言でいえば、「行動経済学の知恵を日々の生活に活かす本」です。
行動経済学というのは、なぜ人々が不合理な判断をしがちなのかということを分析する学問分野です。“損をしたくない”という気持ちが、かえって損を招いてしまうというパラドックスを引き起こしてしまいます。
どういうことか、3つの例をだしましょう。
みなさんはどちらですか?イエスかノーかで答えてください。
- 保険は「掛け捨て」よりも「貯蓄機能」をもったほうがお得だと感じる。
- かけていた保険から「保険金」がおりたら、お得だと感じる。
- 高級なものを買うと、次々と買い揃えたくなるほうだ。
この3つの質問で「イエス」と思う人なら、「心の罠」にかかっているかもしれません。
上から順番に、「プロスペクト理論」、「メンタルアカウンティング」、「ディドロ効果」と呼ばれる理論で説明できる行動だということを、この本は教えてくれます。
本書は50の行動経済学の例が紹介されています。
ですから、いわゆる「投資本」ではないのです。「自分の心と行動のクセに気づくことができる本」なのです。
読めば「浪費しない体質」になれる
本書は「行動経済学」の論理をわかりやすく日常生活に落とし込んだ本として、新しい価値がある本です。
「ついつい買い物をして浪費してしまう…」という人は、この本を読めば、自分の気持ちを説明してもらうことで「浪費しない体質」になれるかもしれません。
注意が必要なのは、読後感があまりよくないことです。
というのも、ズバッと日々の「不合理な行動」を指摘しつづけてくれます。浪費癖があればあるほど、自分の問題点を指摘されている気分になるかもしれません。
じつは発売直後に読んだのです。ですが、なかなか書評が書けなかったのは、そういった読後感が影響しているかもしれません。笑
でも、不思議なことに時間が経つにつれて、本の内容が腑に落ちてきます。じわじわと「これはいい本だ」と思えるようになってきました。
この本が紹介する行動経済学の知見を知らない方も多いと思います。
その効能は絶大です。自分の「不合理な判断」に気づけることで、日々の行動に変化があらわれます。お金の「お守り」として理解しておきたい知恵が、ここにあります。
コメント
良質な書籍をご紹介いただき,ありがとうございました.
いつも楽しく読ませていただいております.
by 匿名 2017年2月23日 6:49 AM
匿名さん
メッセージありがとうございます。
自分がおもしろいと思った本だけを紹介するようにしています。
今後もご愛顧のほどを。また遊びにきてください。
なるたく
by loloinvestors 2017年2月24日 12:18 AM