2021/08/13
先日行われた「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year 2016」では、 金融庁の森信親長官からのメッセージが話題になりました。
金融庁の考え方は、金融庁がホームページで公表している金融レポートで知ることができます。
そこで、金融庁の金融レポートを何回かにわたって紹介してみたいと思います。金融レポートを題材にした「読みもの」として楽しんでもらえればと思います。
最終回の第4回のテーマは、「投資の成功体験を」です。
sponsored link
目次をタップすると見出しにとびます
投資に対して消極的
金融庁がアンケートをとったところ、多くの人が投資に対して消極的だったそうです。
2016 年初に金融庁で行ったアンケート調査では、投資未経験者のうち、約8割 が「有価証券への投資は資産形成のために必要ない」と回答しており、 その理由としては「そもそも投資に興味がない」が約6割、「投資はリスクがあり怖い」、「投資の知識がない」がそれぞれ約3割となった。(54頁)
その気持ち、よくわかります。
私も積立投資をはじめるまでは「投資はリスクがあり怖い」ものだと思っていました。
多くの人が「そもそも投資に興味がないから」、「投資は損をするリスクがあり、怖いものだと思うから」といった理由で投資に消極的です。
また、「まとまった資金がないから」「投資の知識がないから」といった理由で、資産形成が必要だと思っていても、投資をする最初の一歩を踏み出せない人も多いようです。
世の中にはたくさんの投資法があり、リスクの高い投資法もたくさんあります。
また、これまでの金融機関は、手数料収入の獲得を重視して、高い投資信託や複雑な商品を売って、利用者にとってプラスにならない商売をしてきたことも事実です。この点は、森信親長官もメッセージのなかで指摘していた点です。
安易に投資をしないことも、それはそれで金融リテラシーということもできます。
お金の知識を身につけたがらない日本人
ただアンケートをみていると、考え方を少し変えたほうがいいかな、という点もあります。
アンケートで多くの人が「金融や投資の知識を身に付けたいと思わない」と回答しているのです。
投資教育を受けたことのない者が約7割を占めており、そのうち約3分の2が、「金融や投資の知識を身に付けたいと思わない」とも回答している(図表II-2-(1)-27)。このため、本人が行動を起こさなくとも 投資教育を受けることができる外部的な環境(例えば職場積立 NISA や確定拠出年金等)の 整備を推進していくことが有効と考えられる。(56頁)
お金の知識を身につけることで、将来の不安は格段に小さくなります。
どうすればいいのかよくわからない人もいるのかもしれませんが、思った以上にお金の知識は力になります。
投資に限らず、貯金やお金の使い方を学ぶことは人生にとってプラスです。
こうした投資に対して消極的な姿勢は、投資の成功体験がないということもあげられます。
投資の成功体験を
そこで大事になるのが投資の成功体験です。
金融庁はどうすれば投資の成功体験につながるのか、端的にこの文章で示してくれています。
投資経験がある者であっても、その投資が必ずしも金融資産の増大に結びつかず、 投資の成功体験を有していない場合もある。例えば、短期的な収益を狙って投資商品の売買が頻繁に繰り返されるような場合には、販売手数料等も影響して、長期的な成功体験につながらないことも少なくないと考えられる。
投資を行っていても投資の成功体験に乏しい層に対しては、長期・積立・分散投資の効果や販売手数料の影響等を認識し、投資手法の改善を図ることが重要と考えられる。
投資を行わない理由として、まとまった資金がなく、「少額から投資可能であることを知らない」ことを挙げる層に対しては、「少額からでも投資による資産形成が可能であること」 についての理解を広めていくことが有用と考えられる。(59頁)
ここでのポイントは3つです。
- 短期的な収益を狙って投資商品の売買が頻繁を繰り返してもうまくいかない
- 低コストの「長期・積立・分散投資」の積立が成功体験につながる
- 少額からでも投資による資産形成が可能である
「長期・積立・分散投資」の積立投資は、まさに自分が実践している投資法です。
このブログの下に掲載している相互リンク先のみなさんも、投資信託を使った資産形成をしている方です。参考になるブログばかりです。
多くの人が「投資」のことをリスクが高いものと思っていますが、積立投資であれば、自分でリスクをコントロールできますし、低コストのインデックスファンドも充実して、投資環境はどんどんよくなっています。
NISAや確定拠出年金をきっかけに、投資の成功体験が多くの人に広がっていくといいですね。
以上、投資の成功体験を。—金融庁の「金融レポート」を読んでみる(4)終…でした。
参考リンク:
金融庁森長官がFOYに寄せたメッセージをぜひ読んでみてください。金融庁の本気度を感じます。
本屋さんの投資本は玉石混交です。投資について学びたい方は参考にしてください。